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機能性やニーズ取込みで売れ行き増<注目通販各社のプライベートブランド商品展開の現状>

2020年10月15日 13:30

 コロナ禍が続く中、生活様式の変化などから消費者のニーズもまた変化している。また、通販市場はコロナを追い風に全体的に堅調な推移をみせているものの、その分、参入も多く競争は激しさを増している。そうした中で変わる消費者のニーズや競合との差別化などの観点などからプライベートブランド(PB)の展開を強化する通販実施企業が増えている。注目すべき各社のPB展開の現状をみていく。
 





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ストリーム


 ストリームでは7月、創業20周年を記念してプライベートブランド「イーネーズ(enas)」を立ち上げ、第1弾としてブルートゥースCDプレイヤー「enasEASYCDPLAYER」(価格は税別1万4800円)のネット販売を開始した。手持ちのスピーカーやヘッドホンにペアリング接続することで、気軽に音楽が楽しめるというコンセプトの商品だ。

 イーネーズのプロジェクトリーダーを務める、営業本部商品販売部商品グループの冨澤隆範副部長は「サブスクリプション全盛期で、スマートフォンで音楽を聞く人がほとんどだが、CDをたくさん保有している40~50代は少なくないだろう。そういった資産を活かせる方法はないかと考えた」コンセプトを説明する。

 スマートフォン全盛となり、家にパソコンがあっても起動する機会は減り、そもそもCDドライブが付いていないことが多い。そうなると、スマートフォンにCD音源を取り込む機会も無くなってしまう。CDを再生する機器もなく、いわゆる「ピュアオーディオ」は価格的にも敷居が高い。「ニッチな需要ではあるが、気軽にCDを楽しめる環境を作るために商品開発をした」(冨澤副部長)。

 自らも音楽好きという冨澤副部長。オーディオの担当でもあったため「ポータブルCDプレイヤーにブルートゥース機能を搭載した商品を作れば売れるのでは」と家電メーカーの営業担当にプレゼンしてみたが「市場が小さいので採算が合わないと言われた」。ならば自社で作ってみよう、とPBを立ち上げることになった。

 もちろん同社工場は持っていないため、生産は委託している。冨澤副部長は「第1弾の商品ということもあり、いろいろと苦労したが、満足のいく商品に仕上がった。SNSでも『ありそうで無かったコンセプトの商品』とおおむね好意的な反応をもらっている」と手応えを口にする。

 商品サイズはCDケースと同等のコンパクトサイズ(=写真)。説明書もCDのジャケットサイズとした。電源は、USBケーブルからの給電のほか、単3アルカリ乾電池での駆動にも対応する。電池持続動作時間は約3時間となっており、どこでもCDを再生できる手軽さが特徴だ。内蔵メモリーに再生データを60秒間分蓄えることにより音飛びを防止する機能もある。

 ターゲットは40~50代の男性だ。インスタグラムとツイッターのアカウントを開設して周知を進めているが「認知拡大が課題ではあるが、新たに立ち上げたブランドで、店頭で手に取ることもできないことを考えると、ユーザーに選んでもらえているという感触はある」(冨澤副部長)。

 現在は自社通販サイトのみの取り扱いだが、将来的には家電量販店への卸も視野に入れる。「CDを今も聞いているユーザーの目に触れるようにしていきたい。音楽ショップのユーザーにもこの商品の存在を届けられれば」(同)。また、同社では今年、家電のレンタル事業に参入しているが、同商品に関してもレンタルできるようにする予定だ。

 商品を購入してレビュー書くと1000円割引クーポンをプレゼントするキャンペーンなども実施。こうしたこともあり「特に楽天市場店ではコンスタントに売れている。また、家電を紹介する雑誌に記事が掲載されるなど、知名度も上がっている」(上原隆司広報室長)という。

 「イーネーズ」のネーミングには、必要な機能をシンプルに絞り込んだ上で、「あったらいいね」という便利機能をプラスワンする、という意図を込めている。今回の商品についてはブルートゥース機能が「プラスワン」されているわけだ。今後のPB展開については「具体的には決まっていないが、オーディオに限らず幅広い商品を開発していきたい」(冨澤副部長)。カテゴリーに縛られず、ブランドのコンセプトに合致したアイテムを開発していく。

 
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