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電通ダイレクトマーケティングがテレビCMの効果を最大する出稿支援サービス開始、CM出稿が有効か否かの判断から制作・出稿計画・分析まで一括サポート

2020年11月26日 07:30

 「予算を無駄にせず、テレビCMの効果を最大化できます」。電通グループで通販支援事業を行う電通ダイレクトマーケティングは10月から、通販事業者などに向けたテレビCMの出稿支援サービス「CMコンパス」の提供を始めた。

 ダイレクト広告の出稿をメーンとする通販事業者にとっても販売する商品の売り上げ増を図る施策として他メディアよりリーチ数が多く、見込み客のパイを広げることができるテレビCM出稿は効果的だ。とはいえ、”準備”や”条件”を整えずに出稿してしまうと安くはない広告費に見合うだけの効果を得られず無駄にお金を使うだけとなってしまうケースは少なくない。

 「CMコンパス」はテレビCM出稿を検討する通販事業者らに対し、事前消費者調査やクリエイティブ制作、CM出稿による全体の効果測定分析などテレビCMの効果を最大化するための準備や条件を整え、出稿をサポートするサービスだ。「CMコンパス」はテレビCMの出稿を前提としたサービスではなく、CMの効果を最大化することを目的としたサービスのため、クライアントの商品に関する事前調査でCMの出稿が効果的でないと判断した場合は「CMは出稿しない方がよい」と助言、現状にあった他の打ち手やCMの成果を上げられる準備を行うべきと提案するという。

 「CMコンパス」はこれまで同社が蓄積してきたテレビCM(15・30秒)に関する知見と効果的な展開法を盛り込んだCM出稿支援サービスで、具体的には(1)CM実施の可否などを判断するための定量消費者調査と分析(2)これまでの知見やデータ分析による効果的なCMクリエイティブの企画・制作(3)過去のデータなどをもとにCMの放映エリア・時間帯の設定およびCM連動して展開するインターネット広告および紙媒体広告の出稿計画立案(4)CM出稿データと実際のレスポンスデータを分析・可視化をトータルで提供する。

 具体的には定量消費者調査ではクライアントの商品やサービスに関する現状の認知率や購入意向率、購入経験率、特徴理解率、商品やサービスの特徴と価格を提示した際の特徴魅力度などをウェブ調査し、CMを出稿すべきか否かなどの判断材料とする。同社によるとCMの成否は各種データの相関関係を分析することであらかじめある程度、判断可能だという。例えば「認知率」が低く、一方で当該商品を認知している人の中で当該商品を購入した人の率「認知者ベース購入率」が高い場合はCMで認知率を高めれば購入者が増えることが予想され、効果的だが、その逆の場合はCMで認知率を高めても購入には結びつかないケースが多く、現状ではCMは出稿せず、まず取りこぼしを防ぐためにオファーや価格、通販サイトの導線の見直しなどの土台作りを優先すべき、などという判断ができるという。

 CMが効果的だと判断した上で、同社のクリエイティブディレクターが中心となり、電通グループの知見や独自ノウハウを生かしたCM映像を制作。基本的には訴求や連携するメディア誘導先などの異なる2パターンを制作し、ABテストを行い、効果的なCM映像を制作する。

 そして当該商品・サービスに最適なテレビ局や時間帯、投下量などを過去のデータや競合品のCMの実績など電通グループの知見などを活用して決定したり、CMと連動して展開するディスプレイ広告やアフィリエイト広告などのインターネット広告や新聞折込チラシ、新聞広告などのオフライン広告の出稿や最適化を図り、CMの効果を高める。

 CM放映後はCMのほか、連動する各種広告のデータや売り上げなどを入れ込んで分析、CM素材ごと、または時間帯やテレビ局ごとのCPAやCMと連動した各広告へのCM波及効果などを確認でき、費用対効果の把握や次回以降の改善などに活用できるダッシュボードを提供するものだ。

 費用はCM映像制作やCM枠(2エリア=1000~1500GRP)を含め、約1000万円程度。すでにCM素材があったり、CM枠を絞った場合は300万円程度から実施も可能だという。

 「CMコンパス」を統括する同社の小林裕宗統合コンサルティング部長よれば、「CMは確実に認知率が高まる分かりやすいソリューションである一方、企業や商品によってはやらない方がよい場合もある。効果が薄くお金の無駄使いになることもあるからだ。本当にCMをすべき企業が、CMの効果を最大化できるようなサービスを作りたかった」という。10月のローンチ後、化粧品や健康食品の通販実施企業などから引き合いがあり、すでに導入をテストしているという。今後もAIを活用したCMクリエイティブ分析など新機能などを導入してサービスの高度化を進めていく。また、直近では12月10日にも開催するウェブセミナーなどを通じて告知を強化、1年後をめどに10社程度の導入を目指すという。

 事前に当該企業の商品・サービスにとってCMが有効か否かを”診断”した上で、効果的なCMクリエイティブを制作、CMの効果を高めるクロスメディア展開、さらなる効果改善につなげるための分析をパッケージ化したサービスとして提案することで、クライアントである通販事業者らに「失敗しないCM出稿」を支援。継続的な出稿を促し、同社としては取扱高拡大につなげたい狙いだ。
 
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