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フェリシモ子会社 ツールで在庫を適正化、客単価向上に効果、カテゴリー拡大も視野

2021年 1月14日 13:40

 フェリシモでは昨年3月、「haco!(ハコ)」事業を子会社であるcd.に事業を承継した。

 「ハコ」はフェリシモが2004年にカタログを創刊した若い女性向けファッションブランドだ。cd.セールスマネージャーの道満未緒氏(=写真)は「2015年にはネット販売に特化したが、ネット販売そのものがどんどん変わりつつある。内部だけはなく、外部のさまざまなリソースを使い、変化へスピーディーに対応していけるよう、構造改革を加速したいと考えた」と外部との連携強化が分社化の理由のひとつでもあったことを説明する。

 昨年7月には、フルカイテンが提供する在庫管理サービス「FULL KAITEN(フルカイテン)」を導入した。同サービスは、担当者が仕入れの最適化や不良在庫の削減などを簡単に行うことができるというもの。人工知能(AI)を使い、在庫をSKUごとに「不良」「過剰」「フル回転」という3つのカテゴリーに自動的に分類する。

 道満セールスマネージャーは「当社の場合、在庫を焼却することはポリシーとして行わないが、毎年新商品が発売されるので、在庫が積み上がっていくのも事実。在庫をいかに財産として有効活用してくかが重要になる。ただ、在庫を動かすために、何をすればいいのか、どの商品が売れるのか、のデータ抽出に時間をとられ、肝心の施策遂行にまで手段を取れていなかった」と明かす。

 導入準備を経て「フルカイテン」が稼働しだしたのは9月だが、すぐに成果が出はじめたという。「新作アイテム以外はすべて『過去の商品』なので、ラベルを貼らなければ全て同列に見える。過去在庫と認識されたものはすぐに値引きをしがちだが、しなくても売れるアイテムも実はある。そこが『フルカイテン』によって可視化されたので、過去品番の中で『売れるアイテム』と『セールすべきアイテム』の選定がしやすくなった」(道満セールスマネージャー)。売れ筋ランキングは新商品が上位を占めるが、下位に入るアイテムの有効活用ができるようになった。

 9月の客単価は前年同月比8%向上した。10月以降に関しては、昨年より単価が安い商品の販売も導入しているが、客単価は前年同月比でキープを続けており、販売個数も増えているという。

 「これまで、購買データの中から、あるワンピースだけ買った人と、あるワンピースと別のアイテムを同時に購入した人を抜き出して比較するのは大変な作業だったが、『フルカイテン』は分かりやすく見せてくれる。そのため『このアイテムと同時によく買われている商品はこちらです』ということが明示しやすくなった」。また、商品ページを離脱したユーザーに対する提案も効果的だったという。同社の送料無料ラインである、注文単価5000円に届かない分を補う、合わせ買い商品の提案もしやすくなった。

 道満セールスマネージャーは「これからは、ユーザーとの双方向のやりとりをもっと増やしていきたい。また、大量生産大量消費の時代が終わっていることを念頭に置き、『売れる商品をたくさん作って消化できるまで売る』のではなく、さまざまなツールを取り入れることで適正化し、商品の販売だけにとらわれない『面白いサイト』にしたい。当サイトは『服屋』というイメージが強いかもしれないが『お客様の欲しい、楽しい』が見つかるサイトであるべきだと思っているので、今後は商品カテゴリーや事業分野を広げていきたい」と意気込む。

 
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