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石綿問題、モール対応重要に<珪藻土製品に混入相次ぐ> エビデンス提示する店舗も

2021年 1月14日 14:00

 ニトリやカインズなどが販売する、珪藻土(けいそうど)が原料のバスマットに、法令基準を超える石綿(アスベスト)が含まれていたことが判明した。各社では回収を始めたが、販売数は数百万個に及ぶ。珪藻土は吸水性に優れていることから、バスマットやコースターなどが人気商品となっており、ネットでも大手通販サイトや仮想モールで多数販売されている。法令違反の商品がネットでも売られている可能性も否定できない状況だ。
 





 珪藻土とは、藻類の一種である珪藻の殻の化石よりなる堆積物のこと。吸水性の高さから、バスマットやコースターなどが近年急速に普及している。

 問題の発端は、大阪府貝塚市がふるさと納税の返礼品として提供していた、珪藻土を使ったバスマットとコースターに、基準を超えるアスベストが混入していたのが発覚したことだ。これを受けて厚生労働省では、ホームセンターや100円ショップなど、大手小売り約20社に「石綿含有製品の製造、輸入、譲渡、提供および使用に禁止徹底」について依頼をした。

 昨年12月15日、ホームセンターのカインズが販売する珪藻土バスマットとコースターへのアスベスト混入が判明。回収対象は約29万点だ。続いて12月22日、ニトリが販売する珪藻土バスマットとコースターにも法令の基準を超えるアスベストが含まれていたことが分かり、回収すると発表。対象は約241万点に及ぶ。

 ニトリによれば、生産委託先である中国の工場の成分調査に、今回の場合、アスベストに限定した検査が確認できなかったことが、今回の事態を招いた可能性があるという。ニトリの場合は生産を中国に委託していたわけだが、中国で製造された珪藻土製品を輸入する卸売り業者が国内に多数ある。そういった業者が小売り業者に卸した商品に、基準以上のアスベストが混入していることも考えられる。

 厚生労働省化学物質対策課の中村宇一課長補佐は「先の要請は大手小売りが中心で、大手仮想モールへの通知はしていない」と話す。とはいえ別表の通り、各社仮想モールでは多数の珪藻土関連製品が取り扱われており、累計販売数も相当数に及ぶのは確実だ。

 今回の報道を受けて、各仮想モールはどのような対応をしたのか。「楽天市場」の楽天では「報道にあった当該商品の取り扱いはニトリに確認中。他の店舗での取り扱いは無い。出店者向けの情報ページにリコール情報を掲載した」(EC広報課)という。「アマゾン」のアマゾンジャパンでは「厚生労働省から発表のあった珪藻土関連の商品については、すみやかに販売停止をした」(パブリック・リレーションズ本部)。「ヤフーショッピング」のヤフーは「厚労省から発表されている商品について取り扱いの有無を調査した結果、現時点で販売中の商品はない。また、過去に当該商品の販売実績があったストアについては、自主的にお知らせを掲載している」(広報)とする。「auPAYマーケット」のauコマース&ライフ(aCL)は「出店者への通知は行っていないが、リコール情報等、行政より情報共有があれば、出店者へ通知する用意がある」(広報)という。

 自社で販売している企業もある。楽天は「関連商品の販売を一時的に停止の上、取引先に確認している。品質に問題が無いことを確認が取れた商品から順次販売を再開している」と回答。また、aCLは「『ダイレクトストア』で取り扱いを行う珪藻土関連商品の取引先に安全性の確認を行ったところ、15社すべてから安全である旨の回答をもらった」とする。

 ただ、仮想モールで流通する商品に関しては、各社とも「厚労省から発表されている商品についての取り扱い」を調査しただけだ。「アスベストが混入していないことを示す証明書の提示義務付け」に関しても、「現時点では証明書の提示義務化の予定はない」(楽天)、「現時点では個別の製品に関しての確認は実施していないが、今後状況に応じて検討する」(aCL)としている。

 今回の問題を受けて、「アスベスト検査済み」をうたう珪藻土製品の販売店が増えており、SGS認証を受けた旨を示す店舗もある。消費者の不安を解消するためにも、当該製品が問題ないことが分かる形でエビデンスを積極的に開示していく必要がありそうだ。

 厚労省では「業者は生活雑貨品全般を扱っているので、どの程度の業者が珪藻土製品を中国から輸入しているのか、全体像は分からない」(中村課長補佐)と頭を悩ませる。12月28日には、不二貿易が輸入した珪藻土製品から基準以上のアスベストが検出されたことが判明した。ネットでは現在も多数の珪藻土製品が販売されているだけに、安全性が担保されていないのは、消費者にとっても国にとっても由々しき事態だ。

 万一、仮想モールで販売する珪藻土製品が回収対象となった場合はどう対応するのか。楽天では「商品の品質に問題があることが判明した場合、出店者から返金対応等を行うのが原則だが、出店者が対応できない際には楽天が提供する『あんしんショッピングサービス』にて補償対応する。また、商品の回収が必要となった場合、楽天としても状況に応じて出店者と連携しながら商品の回収に努める」としている。aCLでは「商品に関して問題が発生した場合は、出店店舗の販売責任において、顧客対応を行ってもらう」とする。

 仮想モールに出店する企業は、ニトリのような大企業に比べると規模が小さく、全国に点在する実店舗のような拠点もないことから、場合によっては回収が滞る恐れもあるだろう。仮想モールの支援も必要になってきそうだ。

 基準値以上のアスベストが含まれていたとしても割ったり削ったりしなければ飛散することはないが、珪藻土製品は汚れたり、吸水力が落ちてきたりした場合、削ることが推奨されており、紙ヤスリも付属している商品もある。アスベストは長期間吸い込むと、長い潜伏期間を経て肺がんや中皮腫を起こす恐れがある。ただ、問題となった珪藻土製品は、アスベスト含有量が1%前後で「数カ月に一度削る程度なら、健康被害はまず想定できない」(中村課長補佐)。とはいえ、法令違反の商品は放置できないだけに、仮想モールの踏み込んだ対策など、官民挙げたチェック体制が必要となりそうだ。


成分や性能の裏付け乏しく、求められる規格策定

<珪藻土製品の実態は?>

 ここ数年、「便利グッズ」としてネット販売はもちろん、ホームセンターなどでも定番となっていた珪藻土商品だが、普及に冷や水を浴びせることになった。なぜ今回のような事態に陥ったのか。

 もちろん、珪藻土にアスベストが含まれているわけではない。ただ、バスマットに成形する際、珪藻土だけでは固まらないので、強度を増すために「つなぎ」を使う必要が出てくる。業界関係者は「恐らく、安価なのでつなぎとして使われたのだろう。日本ではアスベストが重量の0・1%以下と法律で定められているので、石綿を混ぜるという発想がないし、国産珪藻土製品のメーカーは成分分析の結果もきちんと出している」と話す。

 この関係者によれば「中国には珪藻土製品を製造するメーカーは多数あり、確認できているだけで大きなメーカーが4社ほどあるようだ。あくまで雑貨として輸入されたものなので、アスベストのチェックがされずに出回ったのだろう」と推測する。

 厚労省でも「アスベストが混入した経緯については現在調査中だが、珪藻土は100%だと成形が難しいと聞いているので、つなぎとして使われたと推察している」(中村課長補佐)と同様の見方だ。なぜ輸入されたかについては「基本的に中国はアスベストの製造・販売が禁止ではないと聞いている。ただ、生活雑貨品にアスベストが含まれていたという事例がこれまで無かったので、こうした事態は想定していなかった」と明かす。

 今後、アスベストが含まれている商品が流通しないための仕組みはどのように構築するのか。もちろん、アスベストが重量の0・1%以上含まれた製品の製造・販売は労働安全衛生法で禁止されている。

 ただ、アスベストは従来、建材に使われていた経緯がある。大阪府貝塚市のふるさと納税の返礼品として提供されていた珪藻土商品にアスベストが含まれていたケースでは、製造元となる堀木工所が、法規制強化前に製造された建材を加工して商品にしたことが混入の原因となった。厚労省では「珪藻土製品やそれに類するものに関しては、輸入する際に分析結果を確認するよう、さまざまな業界団体にお願いしている」(中村課長補佐)という。

 もう一つの問題は、すでに流通した珪藻土製品にどれだけアスベストが含まれたものがあるかだ。今回の騒動では、厚労省が調査を依頼したことで、大手小売店が販売した商品に基準を超えるアスベストが含まれていたことが判明したわけだが、中国から輸入する珪藻土製品を卸売り業者が国内に多数あることを考えれば、ネット販売を手掛ける小規模店が販売した商品にも同様な事態が起きている可能性は少なくない。「各社にプレッシャーをかけながら調査をしてもらうしかないだろう。今後は買い取りテストを行っていく予定なので、分析結果を踏まえて、基準を超えた製品を販売した可能性が高い流通経路へ直接当たっていきたい」(同)。

                                                                           ◇

 珪藻土製品に関するもう一つの問題は、商品の表示や広告だ。「珪藻土バスマット」とひとくちにいっても、実際にはどの程度珪藻土が含まれているのかは定かでなく、多くの製品で惹句として使われている「吸水・脱臭・抗菌」効果も不透明なのが実情だ。「製品の色や吸水状況を見る限り、中国製珪藻土製品の大半は珪藻土があまり含まれていないのではないか。恐らく、比重の大きいセメントなども使われているはずだ」(業界関係者)。虚偽表示や誇大広告に該当するとすれば、当然景品表示法違反となる恐れもある。

 今後は珪藻土製品の規格策定が必要になってきそうだ。先の業界関係者は「これまでは高い・安いだけで消費者に判断されている面が大きかった。現状、吸水・脱臭・抗菌効果についてもほとんどの会社が試験をしておらず、『言ったもの勝ち』になっているのが実情だ。珪藻土製品の性能に関する基準を早急に定めてもらいたい」と要望する。


 
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