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だいにち堂 最高裁へ上告へ、「表現の自由」侵害訴えか

2021年 2月18日 12:50

 だいにち堂が景品表示法の処分取り消しを求めた行政訴訟は昨年10月、東京高裁が請求を棄却した。同社は、最高裁判所に上告している。

 高裁判決は、広告全体の印象から「商品の優良性を強調するもの」との一審判決を支持した。

 不実証広告規制適用の違法性を訴えただいにち堂の主張に対しても、同規制は商品の効果や性能について数値等の具体的な表示のみを規制するものではなく、実際より著しく優良と示す疑いのある表示を対象に審査するものと指摘。その判断のための根拠要求は、具体的な効能効果に限定すべきとは解釈できないとした。

 一審で、だいにち堂は、消費者の意識調査で主張の裏付けを図った。広告を見た消費者に「商品を摂取した際の効果をどの程度期待するか」との質問では、6割超が「なんの効果も期待できない」など否定的な印象を持ったとした。

 高裁は、同調査に対しても、広告から効能効果訴求の印象を受けても、そもそも広告を信用していない回答者は否定的な回答を選択すると判断した。

 同調査で購入意向を示した回答者に、その理由を尋ねた質問は、消費者の購入判断に与える影響を見る上で重要との消費者庁の主張は支持。質問では、「宣伝文句が気に入った」(28%)、「宣伝文句通りの効き目がありそう」(20%)と半数近くが回答しており、目の症状を改善する効果があると認識していると認められ、商品選択を誘引となりえるとした。

 消費者庁は2017年3月、だいにち堂が販売する健康食品の広告が景表法の「優良誤認」にあたるとして、措置命令を下した。だいにち堂はこれを不服として翌年8月、消費者庁を提訴した。

 広告(=画像)は、商品について「ボンヤリ・にごった感じに」などと訴求。だいにち堂は、これら表現は抽象的表現であり、商品の優良性を示すものではないと主張した。具体的な効能効果の訴求を伴わない抽象的表現に根拠を求めると、運用の透明性や事業者の予見可能性が確保されず、不利益を受けるとも指摘。不実証広告規制による根拠要求の対象外であり、憲法第21条に定めのある「表現の自由」を侵害すると訴えた。

 消費者庁は「ボンヤリ―」等の表現は、目の見え方が不良・良好な状態を意味しうるものであり、商品の優良性を表現すると指摘。優良誤認の該当性を判断するため、根拠を求めるのは不実証広告規制の適用要件を満たすと主張した。同規制もガイドラインで適用要件をあらかじめ示しており、運用の透明性、事業者の予見可能性は確保されているとした。

 消費者庁は今年2月、だいにち堂に370万円の課徴金の支払いを命じている。

 最高裁への上告は、判決に憲法解釈の誤りがある場合、訴訟手続きに重大な違反があると認められた場合に受理される。裁判についてだいにち堂に尋ねたが、コメントは得られていない。

 景表法の専門家は「上告の受理は難しいだろう」とみる。消費者庁は、「最高裁に上告されており、訴えのすべてについて整理されていない段階でコメントする立場にない。高裁判決については、従前から主張の通り」としている。


 
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