差別化、特色を武器に参入相次ぐ<ネットスーパーの現状と新潮流> プラットフォーマーとの協業で展開も
2021年 9月 2日 12:30
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2024年12月 5日 12:00
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到着まで10分の即配で利用者増へ
イトーヨーカ堂やイオンといったすでにネットスーパーを展開するGMS大手以外でも新規にネットスーパー事業に着手する事業者が増えている。新規参入各社に共通するのは明確な差別化を持っていることだ。それぞれの差別化を武器に既存のネットスーパー各社に対抗する。
例えば8月25日からサービスをスタートしたOniGOのネットスーパー「OniGO」。特徴は注文完了後、10分で配達するというものだ。ターゲットは所得が高く、小さな子どもがいる主婦層。既存の食品宅配やネットスーパーに対する「1週間分のまとめ買いが大変」、「3時間の幅でいつ届くかわからない」、「受注が閉め切っていて当日利用できない」などの課題に対応し受注の獲得を目指す。
ネットスーパー専用店舗を構えて即配を行う”ダークストア型”のネットスーパーで、半径約1~2キロメートルを商圏に専用の配達員が顧客の自宅まで届ける。
iOSとアンドロイド向けアプリを介して受注を受け付ける。1回あたりの購入価格は3000~4000円を見込んでおり、まずは1日あたり100件の受注獲得を目指すとしている。
品ぞろえは生鮮品や日配品、グロサリーのほか、菓子や冷凍食品、洗剤などを含む日用品で、8月中をめどに1000SKUまで広げる。酒類や薬類は免許を取得次第、取り扱う予定。このほか、地域の専門店やD2Cで展開する商品の取り扱いもすすめる。価格はスーパーなどの実店舗とほぼ同等という。
受注後、専用店舗のスタッフ「ピッカー」が店内の在庫からピッキングし梱包する。配達員「ライダー」が顧客の自宅まで商品を届ける。注文から配達までを10分で行う。宅配料金は1回300円とした。配送を担うライダーには、電動自転車を貸与する。限られた商圏内での配達とすることで、安全面を確保していく。ドライバーは時給1500円で、インセンティブを付与する。ランチタイムやディナータイムなどピーク時を中心にライダーを配置することで配達員の処遇問題の解決を目指していく。収益は売上に対する粗利益から確保し、配送網を構築する。今後、関西などの他のエリアに向けてシステム提供を行うことも視野に入れ、収益化を目指していく。
システムは自社開発した。ピッカー向けアプリと配達員のアプリ、在庫管理システムをそれぞれ連携している。受注データはピッカーが持つスマートフォンに送信され、バーコードリーダーを使って商品のJANコードを読み込みながらピッキングする。ピッカーが梱包した商品をライダーに渡すと、顧客向けのアプリのチャット機能の画面に配送するライダー名と出発したことを知らせる仕組み。チャット機能は、欠品の連絡など顧客とのコミュニケーションに活用する。
なお、ダークストアの1号店は東京都目黒区の東急電鉄の学芸大学駅付近に構えた。半径1キロメートルを商圏とし、営業時間は午前10時~午後10時で、原則毎日営業する。今後は関東1都3県を中心にサービスを展開し、1年間で100店舗まで出店する計画。店舗は100~300平方メートルの規模で展開し、商圏に応じて変える考え。
OniGOは6月に設立。海外イーコマース領域の起業家や、米国や欧州のベンチャーキャピタルなどから3億円の資金を調達した。英国の即配サービスを手掛けるJiffyと資本業務提携を結び情報交換などの連携を図っている。
8月25日に開催した記者発表会で、同社の梅下直也社長は「Qコマースといわれる食品の即配サービスの市場は将来的に2兆円規模になるといわれる。専業事業者としてナンバーワンを目指す」と意気込みを見せている。