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ブルマーレ 専用ブランドで通販に参入、着心地よい補整機能付インナー

2021年12月24日 13:00

 「女性の”悩み”を解決できる、長く愛される下着を作りたい」。下着のOEM、ODM事業などを展開するブルマーレが通販に乗り出した。体形の変化を感じ始める30~40代女性向けに、過度に締め付けず着心地にこだわりながらも体形を整え、大人な女性に合うエレガントなデザインとボディラインのケアもできる通販専用の下着ブランドを立ち上げた。3年後には年間売上高5億円の規模まで拡大したい考え。

 同社は量販店などから委託を受け、相手先のブランド名で下着などの企画・製造などを行う中国・上海出身の沈海波氏(=顔写真)が20年前に起業し、今や日本のグループで年商約50億円のOEMメーカーだ。これまで有名下着メーカーや全国に店舗を展開する大手衣料品量販店やチェーン店、専門店など様々な事業者の自社ブランドの下着の企画をすべて中国に8つ、ミャンマーに1つ構える自社工場で染色、パーツ作り、縫製まで一貫して製造。この20年間で、実に累計2億5000万枚の下着を日本で販売してきた実績を持つ。

 創業からこれまでOEM、ODM事業というBtoB事業を展開してきたが、D2Cというビジネス形態が広がりを見せており、同社としても今後の事業戦略上、ネット販売を行っていくことが必要だと判断したことや「20年間、多くのブランドの後ろで物つくりを行ってきたが、いつかは自分たちの手で本当にお客様が求めている下着をずっと作ってみたかった」(沈社長)とし、同社としては初のBtoC事業となるEC事業を行うことにしたという。

 EC開始にあたって、「下着を作り続けてきた私たちが直接、お客様にどのようなものを販売すべきかと女性社員と一緒に考えてみた結果、『自分たちが買いたい下着、市場にない下着を作ろう』と。ならば、体形を美しく整えつつも過度に締め付けず、素材やパターンにこだわり着心地がよい下着が欲しい」(同)との声を受け、30~40代の女性をターゲットとした体形の補整機能を備えたインナーブランド「Scuu(スクー)」を通販限定ブランドとして立ち上げ、9月から自社通販サイトで本格販売を開始した。

 「Scuu」の特徴の1つは体形の補整機能を備えつつも締め付けず着用しやすいこと。例えば主力製品の1つであるブラジャー「エアリーリフトアップブラ」(=写真)は肌に負担がかかるワイヤーを使わずに、特許出願中の特殊なパターンを採用。脇に流れやすい肉を内側に押し、胸の横流れを防止しつつ、カップ下のパネルで寄せた胸を柔らかい生地で支えるため、着用することでバストを自然に中央へ寄せて美しいバストラインを作るというものだ。

 価格も競争力のある設定とした。前述した自社工場で製造できるため、例えば先の「エアリーリフトアップブラ」の場合、価格は税込3190円。同社によれば、同機能のブラを他社が販売する場合、5000円台の価格設定とするケースもあるよう。「製造コストを抑え、その分、良いものをお求めやすい価格で提供できることも我々の強みの1つ」(沈社長)とする。

 「Scuu」ではブラジャーのほか、ショーツ、ガードル、ブラキャミ。また、11月から発売を開始したナイトブラで合計約160SKUを展開中。今後も顧客やモニターなどターゲットである30~40代女性の声を積極的に商品開発に反映。素材や作りをよりよいものに変更・改善したり、新たなラインアップを投入していく考え。

 また、多くの取引先の商品を作り続けてきた同社はインナー業界では圧倒的な知名度を誇るが、いわば裏方と言えるOEMメーカーであるために、「一般消費者からの知名度は低い。いかに知名度を高めていくかが課題」(同)とし、すでに運営中の同ブランドのインスタグラムなど、SNSを活かした情報発信やネット広告などの出稿を増やすなどし、知名度アップと新規顧客の獲得を強化していく。

 3年後をめどにEC事業単体で年間売上高5億円を目指したい考え。また、日本で一定程度の売り上げと認知度を得たタイミングで「Scuu」を中国でもECなどで直販していきたい考え。

 長きにわたって下着をつくり続けてきたプロフェッショナルが展開する通販専用ブランドの行方が注目されそうだ。

 
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