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楽天 自治体向けIT活用セミナー、地域課題の解決を支援、ふるさと納税成功事例など紹介

2022年 8月 4日 12:30

 楽天グループは7月20日、自治体職員を対象とした「自治体地域イノベーションフォーラム」の第1回をオンラインで開催した。事業構想大学院大学との共催となる。

 同フォーラムは、ITを活用した地域課題解決支援の一環として行うもの。データを利活用して継続的に成果を挙げている自治体を招いて事例を紹介してもらうほか、楽天のデータ利活用に関するノウハウや知見を紹介。楽天が取り組んでいるITを使った地域課題解決視点についても発表する。

 第1回では、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局の髙原剛・前事務局長(=画像)が基調講演を実施したほか、群馬県や山形市、山梨県富士吉田市の担当者が事例を紹介した。

 富士吉田市では、ふるさと納税推進室部長の萩原美奈枝氏が、同市におけるふるさと納税の成功事例を紹介した。人口減が続く同市では、税収の減少に悩んでいたが、「データを活用することで、本当の街の姿を知ることができた。街の経済的な発展への投資という考え方にシフトし、自治体運営から自治体経営への視点に変えて、財源の使い道を検討するようになり、投資的な視点を加えることで街の経済力活性化につながる道が見えてきた」という。

 ふるさと納税に関しては、楽天と連携することで、寄付者が年間25万人を超えるまでになった。「1つのIDで多岐に渡るサービスを活用できることが楽天の強み」(萩原部長)。

 同市では、寄付者に返礼品を送るだけではなく、実際に富士吉田市に訪れてもらうためにはどうすればいいのかを検討していた。そんな時に「楽天から『ふるさと納税寄付者が寄付先に旅行する』というデータがあるので、寄付者にアプローチすることで旅行者ニーズにも繋がるのではないか」という提案があったという。

 「楽天トラベル」が保有する、富士吉田市へ旅行した人のデータをもとに、「東京から自動車で90分」という地理的特性を考慮して、首都圏在住の男性をターゲットとしたプロモーションを実施。楽天トラベル内の特設ページに「ちょっとディープな富士吉田」というコンテンツを設けた。

 特集ページは、ふるさと納税寄付者に富士吉田市への来訪を促す一方、それ以外の観光客には、同市ふるさと納税の返礼品の存在を知らせるきっかけになったという。

 2020~21年に二度のプロモーションを実施。合計予約数は8万3905人、予約流通額は9億5000万円を超えた。萩原部長は「EC、ふるさと納税、トラベルといった、楽天のさまざまな事業が富士吉田市の掲げる将来像や戦略とうまくマッチし、相乗効果が生まれた。これまでのように、効果測定をしないで主観で物事を進めず、さまざまなデータを活用した。ふるさと納税が生み出す財源が、富士吉田市民の満足度につながり、街の価値向上につながると考えている」と述べた。

 
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