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前期はEC売上高2割増【林亮介執行役員に聞く AOKIのEC戦略の現状と今後㊤】 新組織立ち上げの成果が着々

2022年 8月 4日 12:30

 スーツ専門店のAOKIでは、かねてからの課題であったEC事業の強化に向けて、2020年5月に販売促進部のデジタルマーケティング部門と従来からあったEC事業部門を統合し、新規事業部「ネット通販事業部」を立ち上げた。組織の舵取り役に就任した責任者の林亮介執行役員に、EC事業の現状や今後の戦略などについて聞いた。










 ーー現在の紳士服EC市場の状況や課題とは。

 「競合他社も含め、紳士服業界はコロナ禍で実店舗の休業や時短営業などが相次ぎ、その中でこの2年間はECのプレゼンスが非常に大きくなった。それは当然、今も続いていることで、ECを成長させるために各社でしのぎを削っている。

 一方で、スーツという商材自体がECに向いているかと言うとそうではなくて、TシャツやYシャツなど他のアパレルに比べるとECでの購買が難しい商材だと思う。スーツは細かいサイジングがあり、また、補正を前提に販売するものなので、中々セルフで購入するのが難しく、(会社の中で)ECを売り上げ対比で見ると、大手セレクトショップやカジュアルショップと比べて、まだまだその比率が低いことが各社共通の課題だと思う。

 しかしながら、当社では実店舗が600店あり、必ずしもEC比率が高ければ良いというわけではない。やはり、実店舗でフィッティングして購入することが一番正確で良いものが買えると考えているため、初めての人は実店舗に来てもらい、2着目以降はサイズが分かるのでECで購入という時短につなげてもらうことがあるかと思う」


 ーーEC比率が低いことについては。

 「致命的な問題というよりかは業態の特性だと捉えている。それよりも、コロナ禍で働く服装が大きく変わったことの方が大きな問題で、これまで通りの商品構成だけでは顧客ニーズをつかみきれなくなっていることが、スーツ業界全体の課題ではないか」

 ーー会社がEC強化に乗り出した理由は。

 「やはりコロナ禍での実店舗の危機が一番の引き金になったとは思うが、以前より、オムニチャネルや実店舗とECの融合は小売業界でも指摘されていた。当社はECの基礎体力がまだまだついていない状態だったため、そこをしっかりとつけなくてはいけないことは、デジタルマーケティングに携わっていた頃から感じていた」

 ーー就任からのECの実績は。

 「売り上げで言うと、新規事業部の発足1年目となった21年3月期は前年対比で80%増と大幅に伸びた。22年3月期についてもさらに前年比20%増と上乗せで成長することができている」

 ーー成長の理由は。

 「いくつかある。前期は『アクティブワークスーツ』というリラックス素材の上下セットアップスーツを5970円と言う価格でEC限定で発売した。これは非常にヒットして、今は第10弾まで販売している定番商品だ。

 もう一つはレディースの成長。顧客層と同年代の女性社員が担当して、EC内の商品画像の見栄えや文章などを顧客目線で作り、さらに、身長別コーディネートや骨格診断などカジュアルショップであるようなサービスも始めた。また、上戸彩さんや今田美桜さんを起用したキャンペーンでスーツもよく動いた。レディースはトップスも非常に好調で、カットソーなどインナー系については商品部とも協力して多種多様なバリエーションを揃え、実店舗にはないオリジナルのセットでセールしたことも新規顧客が獲得できたポイント」


 ーー新たなツールの導入などは。

 「20年6月から始めた(店頭販売員が撮影したコーディネート画像をECに投稿できるツールの)『スタッフスナップ』も、購買の決定率向上に貢献していると感じる。加えて、21年の11月から始めた『チャット接客』も購買につながった」

 ーーEC限定商品の選定基準とは。

 「まず、価格がある程度お値打ちであることで、当然、品質も担保してあるもの。もう一つはサイズ分けがS・M・Lのように細かくなっていないことや、今販売している『アクティブワークバッグ』のようにそもそもサイズ分けがないジャンルであること」

 ーーこれらは若い層に買われているイメージだが、ECと実店舗で顧客層の違いは。

 「実は大きな違いはなくて、男性に関しては中心層が40代~50代で、実店舗と同じ。女性は20代と40代が多い印象。基本的に働く女性となる」

 ーーチャット接客の利点について。

 「元々、当社は接客をメインとした業態で、接客されることを求める顧客も多くいる。ECにチャットが入ることによってこうした実店舗のサービスに慣れている顧客が、よく利用されているのだと思う。チャットで商品内容を詳しく聞いた後に、ECだけでなく、実店舗に来て買う顧客もいるので、ブランド全体の購買に役立っている。(ECでの)表現が分かりにくいとの指摘をチャットで受けた際には、それを商品部とも共有し、テキストや画像を詳細にするような改善も行った」(つづく)


 
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