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米アマゾン アイスタイルの筆頭株主へ、140億円を出資、化粧品EC強化で

2022年 8月18日 12:30

 米アマゾン・ドットコムは化粧品などのくちコミサイト「@cosme」などを運営するアイスタイルが実施する第三者割当による新株予約権などを通じ最大で約140億円を出資する。新株予約権をすべて行使すると筆頭株主となる。出資後、アマゾンジャパンが運営する通販サイト内にアイスタイルの化粧品販売ページを設けるほか、「@cosme」が持つユーザーレビューなど化粧品や美容に関する情報なども連携させて拡販していく模様。化粧品情報サイトとして高い認知度があり、多くの固定ユーザーを持つ同社との資本業務提携でアマゾンジャパンでは伸び悩んでいるとみられる化粧品の売上高を拡大させる足がかりとしたい考えがあるようだ。

 
 アイスタイルは8月15日付で米アマゾンおよび三井物産と資本業務提携を結んだと発表した。同社は第三者割当を実施して、米アマゾンには無担保転換社債型新株予約権付社債で25億円、新株予約権で115億3823万9667円の合計140億円超を調達する。資金の払込期日および割当日は9月6日。米アマゾンが新株予約権を行使し、新株予約権付社債も全て転換した場合、持株比率は36・95%となり、アイスタイル社長の吉松徹郎氏に代わって筆頭株主になる。

 アイスタイルは新株予約権付社債をアマゾンのほか、三井物産に15億円、トリプルフォー投資事業組合に10億円、新株予約権を吉松徹郎氏の資産管理会社であるワイに18億5227万円分を発行、合計で約183億9000万円を調達する。なお、今回の新株予約権などの発行後の三井物産の持株比率は3・98%となり、米アマゾン、ワイ(持株比率9・12%)、吉松徹郎氏(4・97%)、日本マスタートラスト信託銀行(4・16%)に続き、5位株主となる。トリプルフォーの持株比率は2・65%で8位株主となる。

 アイスタイルでは調達資金のうち、約50億円を長期借入金の返済、約110億円をテクノロジー投資に充当するとしている。

 米アマゾンの出資後、アマゾンジャパンの通販サイト「Amazon.co.jp」上に化粧品などを販売する「@cosme shopping(仮称)」を開設してアマゾンの顧客へ「@cosme」で蓄積したユーザーレビューなどの情報を強みに化粧品を拡販していく考え。また、オンラインとオフラインで連携した各種施策なども検討していくとしており、アイスタイルが展開する化粧品を販売する実店舗なども活用した販促策などを実施していく模様だ。

 なお、三井物産は海外事業におけるパートナーの発掘、関連したマクロデータの提供、国内流通事業における店舗開発や課題解決などでアイスタイルと連携していくという。

 化粧品のネット販売市場、特に仕入れ販売を行う化粧品販売EC実施企業は化粧品メーカーによる直販の強化やコロナ禍の影響、長らく顧客獲得の柱だったアフィリエイト広告で行き過ぎた表現が散見されることなどから行政への監視の目が強化され、それに伴う同広告の集客力の低下などもあり、活況とは言えない状況にある。

 そうした中でも一定の売上高を誇るアマゾンとしても同様に化粧品は思うように売り上げを伸ばせていないと見られ、化粧品の情報サイトとして認知度が高いアイスタイルに出資することで、消費者へ訴求力の高い「@cosme」というブランドを活用して売上高の拡大を図っていきたい考えがあるようだ。アイスタイルとしてもネット販売最大手のアマゾンと競合するのではなく、提携することで販路の拡大や「@cosme」ブランドの強化を図り、コロナ禍の影響などで伸び悩む業績を再び成長軌道へと戻したい考えのようだ。

 
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