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ステマ検討会 「必要」の認識一致、規制対象の範囲、考慮要素など検討

2022年 9月22日 11:30

 消費者庁の「ステルスマーケティングに関する検討会」は9月16日、第1回会合を行った。規制の必要性については、大半の委員が「必要」との認識で一致。一方、ステルスマーケティング(ステマ)行為の解釈は幅広く、明確な定義はない。検討会では、ステマの定義など規制対象の範囲と考慮要素、実効的な規制手法を検討していく。
 






 検討会は、10月初旬にかけて行われる第2回~第4回会合で事業者からヒアリングを実施。議論を踏まえ、年内をめどに報告書を取りまとめる。冒頭で河野太郎消費者担当大臣は、「ステマを依頼されたインフルエンサーがどう認識しているかかなり幅がある。必要があればなんらかの規制をすることも考えていかなければならない」とあいさつした。

 ステマには、事業者が自ら表示しているにもかかわらず、第三者が表示しているかのように誤認させる「なりすまし型」と、第三者に金銭等の利益を提供して表示させ、その事実を表示しない「利益提供秘匿型」があるとされる。手法も、広告と明示しない有名人による商品・サービス等の画像投稿、SNSへの感想の投稿、ECサイトのレビュー、比較ランキングなどがある。

 消費者庁がインフルエンサー300人を対象に行ったアンケート調査では、約4割が広告主からステマを依頼された経験があった。このうち約4割は依頼を受けて投稿していた。

 景表法は、表示内容に「優良・有利誤認」がある場合に広告主を対象に規制できる。たただ、現行法は「広告」であることを”隠す行為”自体を対象に規制できない。OECD加盟9カ国で、ステマに対する規制がないのは日本だけだった。

 検討会では、規制が必要との認識では全委員の意見が一致した。ただ、規制対象とすべき範囲やステマの定義に関する認識では幅がある。SNSの普及により、消費者は情報の発信者にも受信者にもなりうる。インフルエンサーの収入(1カ月)も「1万円未満」と「1万円~5万円未満」で少額なものが約6割を占める。

 「規制対象になる行為がどういうものか明確かつ限定的にして、消費者、事業者が分かりやすい予見可能性が保たれる必要がある」(新経済連盟事務局政策部・片岡康子氏)などの意見があった。広告主との関係性や利益提供の内容、契約実態、指示内容など不当性の考慮要素を明確にする必要があり、程度により悪質性も変わる。一方で「要件を細かくすることで新しい手法に対応できない後追い型の立法になる」(カライスコス・アントニオス京都大学大学院教授)との意見もある。

 金銭等の利益を提供した上で広告主が指示した内容をレビュー投稿するような典型事例がある一方、知人の会社からもらった商品の使用感を投稿するものもある。限界事例(グレーゾーン)に対する認識は幅があり、社会的な許容の限度を議論し、規制手法を検討していく。

 
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