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リプロ サイト表示速度改善ツールを開発 運用レスでCVR改善へ

2022年10月26日 11:00

 カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Repro」を提供するRepro(リプロ=東京都渋谷区)は1026日、特許取得済みの独自技術によってタグを入れた当日から、サイト運営者の手間なくウェブサイト全体の表示速度を高速化するサイトスピード改善ツール「Repro Booster(リプロブースター)」の提供を開始したと発表した。


 ECを含むウェブサイトの表示速度改善は、すべてのサイト来訪者の顧客体験に影響を与えることができる数少ないマーケティング施策で、コンバージョン率などにも貢献する重要な要素だ。


 また、個人情報保護法強化の流れからサードパーティクッキーが規制されることで、従来の広告に頼ったマーケティング手法では十分な効果を得ることが困難になっており、デジタル上でビジネスを行う事業者にとって顧客獲得効率の改善は喫緊の課題だ。


 新規サイト訪問者や既存顧客に良質な体験を提供することはこれまで以上に重要になっていることから、ウェブサイトの表示速度を向上させ、サイト訪問者に快適でストレスのない顧客体験を提供できるサイトスピード改善ツールを展開することになった。


 新サービスの「リプロブースター」は、独自技術によりユーザーがクリックする可能性が高いリンク先をリプロのSDKが予測し、リンク先の情報をクリックされる前にバックグランドで読み込んで当該情報をユーザー端末に一時的にキャッシュ。ユーザーが実際にクリックするとリンク先がキャッシュから高速で表示される仕組みだ。


 サイト回遊中に取得した情報もユーザー端末に一時保持し、独自技術で管理、活用することでクリック後の高速表示を実現する。


 同社によると、クリックされる確率が高いリンク先は複数予測しておくが、先読みするのはHTMLのみで、リクエスト数は増えるものの容量への影響はもちろん、サーバー負荷や通信コストの増加は軽微だ。


 新サービスは、タグの設置だけで運用の必要がなく、導入したその日から表示速度が向上するという。
効果検証についても、一般的な導入前後の期間比較ではなく、同期間同条件でユーザー群を分けて検証が行えるABテスト機能によって、速度向上による効果を一目で確認することができる。


 同社では通販サイトを含めて「リプロブースター」の先行テストを5社で実施し、いずれも効果があったという。例えば、日本最大級の婚活パーティー情報サイト「オミカレ」は、モバイル版での同時期、同条件で実施したABスプリットテストによる検証では表示速度が平均1秒改善し、ウェブサイト全体のコンバージョン率が平均119%改善したほか、直帰率の減少や1ユーザー当たりの訪問回数向上など各種KPIの改善が図れたとする。


 表示速度の改善で顧客体験価値が向上するとサイト回遊率が高まり、商品購入やサービス利用の検討候補にあがって再訪問につながる。再訪率や接触頻度の向上がコンバージョン率の向上やLTV向上につながるという風に、サイトの表示速度改善は結果的にコンバージョン率など各KPIの向上につながり、ECやウェブサイトにおけるKPIの歩留まり改善施策でも確実な打ち手となる。


 グーグルも近年、ウェブサイト表示速度を重視しており、「Core Web Vitals」を検索結果表示順位の要素として組み込むことを発表している。


 また、すでに多くの企業がCDNを導入し、サーバー負荷の軽減やファイルサイズの圧縮などに取り組んでいるが、体感速度にもっとも影響を与える〝画面遷移の速度〟を改善するにはHTML自体の根本的な改善が必要で、通常はサイトのフルリニューアルを行うか、半年から1年をかけて徐々に改善するといった選択を迫られることになる。


 その点、「リプロブースター」はタグを設置するだけで手軽にサイト表示のスピードアップが図れる。
一方、リプロはCDNの進化系による遷移後の表示速度改善ツールについても年内に対応予定で、両面からサイト表示スピードの改善に貢献する。


 同社では「『リプロブースター』は非常にシンプルで分かりやすい製品」(平田祐介CEO)とした上で、「ターゲットも幅広く、物販サイト、メディアサイトなどを中心に年間100社以上に導入を目指す」(同)という。また、海外での特許取得についても調査中だ。


 なお、「「リプロブースター」の導入価格は、ユーザー数やPV数など運営サイトの規模に応じて月額固定の金額となる。
 
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