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競争環境が激化【市場考察 オーラルケア市場①】 広告効率悪化、LTV重視へ

2023年 5月25日 12:00

 オーラルケアEC市場の競争環境が激化している。参入増加を受け、各社ターゲット層のすそ野を広げる。一方、広告単価の高騰で、LTVの向上が課題として浮上している。

 市場をけん引するのは、ソーシャルテックだ。口臭ケアサプリ、ホワイトニング歯磨き、マウスウォッシュの3品からなる「ブレスマイル」シリーズを展開。シリーズ売上高は、22年3月期に52億6500万円、前期(23年3月期)は41億6700万円で着地した。

 主力の「ブレスマイルウォッシュ」単体の売上高は、22年3月期に34億8000万円、前期は、横ばいの34億2000万円で推移する。

 サン・クラルテ製薬は他社に先駆け、マウスウォッシュ「ゴッソトリノ」で市場を切り開いた。配合成分が口腔内のたんぱく質と結びつき、”目に見える実感”がある商品設計は、同社が手掛けた。

 22年4月期の売上高は約12億円(本紙推計)。ただ、類似商品の増加から継続率が課題になっている。前期(23年4月期)は、横ばいの11~12億円(同)で着地したとみられる。

 このほか、マウスウォッシュでは、フロムココロ(ブランド名・デイリーワン、以下同)、フューメント(ノッシュ)、ハハハラボ(キラハクレンズ)、グロリアス製薬(キヨラブレス)feileB(デンターキンデル)がしのぎを削る。

 ホワイトニング訴求の薬用歯磨きを中心に展開する企業は、トラストライン(ミカホワイト)、マーキュリー(オーデント)がある。

 有力プレーヤーも参入する。ファーマフーズーマフーズは、今期(23年7月期)から「DRcula(キュラ)」シリーズの展開を本格化。ホワイトニング訴求の薬用歯磨ジェルを中心にマウスウォッシュ、サプリを展開する。

 参入背景には、定期購入をめぐり同社の相談件数が増加するなど特定商取引法をはじめ表示関連法の規制を受け、他商品の広告投資に制約が生じている影響も受けた可能性がある。主力育毛剤も今期は減収で推移しており、新たなブランドの育成を図っている。

 上期を終え、シリーズ売上高は8億4900万円と好調に推移する。ホワイトニングジェルが大半を占め、マウスウォッシュは、1~2割程度(本紙推計)とみられる。

 ウェブの新規獲得は、概ねニュースメディアやSNSのタイムラインに表示されるインフィード広告(記事広告)、SNSやユーチューブのショート動画広告に分かれる。前者は、商品を理解しLTVの高い良質な顧客が獲得できるメリットがある。後者は、幅広い客層にリーチできる反面、理解が浅く、オファー訴求への反応などLTVが低い特徴がある。競争激化からショート動画広告の活用も増えている。代理店筋によると、広告露出は、「キュラ、ブレスマイル、オーデント、デイリーワンが多い」。一方で、広告単価は高騰しており、販売事業者からは、「かつては同梱物を入れなくても継続してくれたが、ショート動画広告で顧客獲得を維持しなければならない状況。費用対効果は悪化している」、「ショート動画広告は定期条件などオファー内容をよく確認せず購入に至るケースも多く、定期トラブルも増えている」との声も聞かれる。別商品だが、ハハハラボは22年3月以降、定期購入の表示で適格消費者団体から指摘も受けている(継続中)。

 変化する客層への対応が必要になり、複数社がLTVを課題にあげる。(つづく)


 
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