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ヒラキ 人流回復で実店舗が好調、通販商品では“ワンコイン”再挑戦

2023年 6月 1日 12:00

 靴の製造・販売を手がけているヒラキでは、消費者の外出機会の高まりに伴って需要が増加している実店舗事業が昨年度後半から好調を維持している。一方で、前期は不調に終わった通販事業について、今期はオリジナル商品のテコ入れなどで巻き返していく考え。

 同社の2023年3月期の「通信販売事業」の売上高は前年比10・2%減の78億3400万円で、セグメント利益は同50・7%減の5億3200万円となった。

 昨年の2月~3月は春夏商品の立ち上げ時期だったが、製造を委託している工場のある中国・バングラディッシュにおいてコロナ禍でのロックダウンによる出荷遅延などが発生。昨年2月時点で新年度の新商品として300点ほど用意していたものの、期日に間に合ったものは半分程度だったという。「売れるべき商品がきちんと確保できていなかった」(伊原英二会長兼社長)と振り返る。

 背景には昨年度は欧州の経済が好調で、中国などの生産拠点も欧州向けの大量受注を多く受けたことで日本への出荷までは手が回らなかったと見られている。

 加えて、オリジナル商品については、仕入れ価格の急激な上昇に対応するため、秋冬商品の販売価格を値上げしたこともあり、通販での受注減につながったとしている。

 現状、通販では6050円以上の購入で送料が無料になることから、平均客単価は6500円程度となっている。昨年度については商品値上げの影響も受けて、購入単価自体は前年比で増加傾向にある。一方で受注件数については、同様の理由で前年比約13%減。また、年に1回以上の購入があるアクティブ会員の数については今年3月末時点で70万人強となり、こちらも前年より減少している。

菓子専門売り場が実店舗けん引

 同社によると、コロナ禍となったこの3年間は実店舗販売事業で苦戦が続き、逆に通販事業ではプラスの部分もあってかなりの増収になったとする。

 それが今はコロナの感染対策に関する行動規制が緩和されたことで、実店舗事業が増収に転じ始めている。中でも神戸市内の本店で以前は約165平方メートルで展開していた菓子売り場を、昨年11月18日に単独の売り場に切り分けて、約280平方メートルの「おかし館」(画像)専門店としてリメイク展開したところ、来店客数が大幅に増加。開店以降、昨年度の菓子部門の売上高は前年比225%を達成した。今年1月では約3000万、2月から4月についても月間で約2500万円の売り上げとなっており、現在も高水準で維持しているという。

 通販については以前のような巣ごもり下での収納家具やインナーウェアなどの需要は落ち着きを見せ、外向け商品のニーズが高まっている。しかしながら今期は原点経営に立ち返り、「ファッション性を追うのではなく、人々に必要とされるベーシックな商品を作る」(伊原会長兼社長)ことを掲げているとする。

 その上で、まずはオリジナル商品の競争力強化の一環として、昨年度までに累計販売足数80万点を突破した女性向けのカジュアルシューズ「ふわりっと」について、今年度の春夏販促商品として最新商品を発売。同社の代名詞でもある税別500円以下の「ワンコイン」販促商品として、499円(税込548円)価格に再挑戦している。

 そのほか、実店舗事業についても、菓子売り場に続く専門性のある売り場として、全国の人気ラーメンを集めた「ラ~メン館」を4月に本店内に開設している。

 また、通販でのオリジナル商品をメインに取り扱っている都心部型展開の靴専門店についても今期は出店攻勢を図っていくほか、イベント再開などによる客足の増加を見込んでいる。
 
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