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ベルーナ ホテル・専門通販で成長へ、カタログ通販は利益重視

2024年 6月13日 12:00

 ベルーナが、事業を再編する。不動産やホテルの「プロパティ・ホテル事業」と、化粧品・健康食品通販や食品通販、看護師向け通販などの「専門通販事業」に関して、収益性拡大を目指す「グロース領域」に分類。一方で、主力の「アパレル・雑貨事業」のほか、「呉服関連事業」などは、収益性の効率化を第一とした「サステナブル領域」に位置づける。これにより、2024年3月期の営業利益97億円を、将来的に200~300億円規模まで増やす狙い。

 
 前期までの「化粧品健康食品事業」「グルメ事業」「ナース関連事業」を専門通販事業に統合したほか、不動産の「プロパティ事業」をプロパティ・ホテル事業に改称した。営業利益率の高い両事業をグロース領域に位置づけた。
 アパレル・雑貨事業と呉服関連事業、「その他の事業」に関しては、サステナブル領域とする。フルフィルメント関連の「データベース活用事業」については、独立した位置づけとなる。同社の安野雄一朗取締役専務執行役員は「『ベルーナ=総合通販事業』という認識を変えていきたい」と再編の狙いを説明した。

 プロパティ・ホテル事業の24年3月期業績は、売上高が320億1000万円、営業利益は42億6000万円。25年3月期業績は、売上高366億円、営業利益53億5000万円を見込む。

 近年はホテル事業が急拡大。同社のホテルはローコストオペレーションを徹底しており、シティーホテルについては銀座・札幌・大阪など好立地に展開していることが強みとなっているほか、リゾートホテルについてはロケーションの優位性やリノベーションの実施、M&Aによる施設数拡大などが強みという。現在のホテル数は18で、来年4月に札幌市、同7月には北海道小樽市に開業予定で、部屋数は4183となる見通し。

 専門通販事業の24年3月期売上高は601億3000万円、営業利益は25億円。25年3月期には売上高609億9000万円、営業利益26億5000万円を見込んでいる。

 化粧品健康食品・グルメ・ナース関連と、全事業を強化していく。安野清社長は「3事業のシナジーは期待せず、それぞれ独立して取り組んでいく。商品力とマーケティングを強化し、アクセルを踏み込めるような土壌を作り上げていく」と述べた。

 化粧品事業に関しては、海外市場の開拓を推進。現在は台湾・香港・シンガポールで展開しており、売上高は約35億円だが、中国・マレーシア・ベトナム・タイへ進出することで売り上げを拡大。国内においてはドラッグストアなどへの卸を拡充する。化粧品健康食品事業の前期売上高は147億2000万円だが、200億円まで伸ばしたい考え。

 グルメ事業においては、カテゴリーを横断したブランディング、プロモーションが統一されていないことから、事業を横断したブランディングを強化する。ナース関連事業については、看護師人数の伸びが鈍化し、通販を中心とした事業モデルが頭打ちとなっていることから、収益性拡大を推進。成長余地のあるB〓Bモデルの拡大を目指し、訪問介護や介護施設を運営する企業との提携を推進する。

 一方、主力のアパレル・雑貨事業については、売り上げ拡大ではなく、利益を重視した施策を展開する。「何とか『サンセット』から『サンライズ』へと持っていきたい」(安野社長)。印刷用紙や印刷費の高騰、急激な円安に対応した取り組みを進めているほか、マーケティング面では顧客リストの収集・活用・掘り起こしなどを見直しており、結果が出はじめているという。

 グロース領域の24年3月期業績は、売上高921億4000万円、営業利益67億6000万円。25年3月期業績は売上高975億9000万円、営業利益80億円を見込む。安野社長は「グロース事業ではアクセルを踏み込む一方、カタログ通販は徐行運転で無理をせず、中身を重視していく」と今後の見通しを述べた。

 
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