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ゾゾ 障害者向けの服を生産支援、受注生産方式で在庫リスクゼロ、「キヤスク」と協業

2024年 8月15日 12:00

 ZOZO(ゾゾ)は8月10日、服のお直しサービス「キヤスク」を手がけるコワードローブと連携し、生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO(メイドバイゾゾ)」を通じてファッションブランドが通販サイト「ゾゾタウン」上でインクルーシブウェアを受注販売できるサービス「キヤスク with ZOZO」を開始した。

 インクルーシブウェアは、障害の有無や体型の違い、性別などに関係なく誰もが便利に使える「インクルーシブデザイン」の考え方を取り入れた服だ。厚労省の調査では日本の障害者は国民の約9・3%に相当する1164万人に上ると推計されているが、障害の種類や程度によって一人ひとり異なるファッションの悩みを抱えており、服を選ぶときは”着やすさ”を優先せざるを得ず、服の選択肢が限られている。

 そこで、「メイドバイゾゾ」と、障害や病気のある人に向けたオンラインお直しサービス「キヤスク」が協業して「キヤスク with ZOZO」を立ち上げた。

 「メイドバイゾゾ」は「ゾゾタウン」での受注後に最低1枚から生産し、最短10日で発送できるのが特徴。デジタルでサプライチェーンを一気通貫し、異なるデザインの商品を同時に生産することも可能で、ファッションブランドは在庫リスクゼロで多様な商品を提供できるのがメリットだ。

 従来、ファッションブランドは障害者一人ひとりのニーズに応えるにはサイズや仕様などさまざまな種類の在庫を持つ必要があったが、「キヤスク with ZOZO」を活用し、あらかじめ複数のインクルーシブウェアのデザインを用意することで、在庫を持たずに販売できる。

 また、ゾゾは顧客が「ゾゾタウン」上で身長と体重を選択するだけで豊富なサイズ展開の中から体型に合ったサイズのアイテムを購入できる「マルチサイズ」対応商品を展開。最大56サイズに対応できるため、障害者など一人ひとりが着やすいサイズの商品を提供することができる。

 今回の協業について、コワードローブの前田哲平社長は「ゾゾのプラットフォームを活用し、既製品として服を提供することで、より多くの人にとって服の選択肢が広がる」とする。

 一方のゾゾも「ファッションブランドに『キヤスク with ZOZO』を活用してもらうことで服の選択肢を圧倒的に増やせる可能性がある」(長田富男生産プラットフォーム本部DX推進部生産管理ブロック)とした上で、「ニッチ市場ではあるが競合が少なく、海外も含めてビジネスチャンスが大きい」(同)とする。

 なお、新サービスで提供するアイテムは、「キヤスク」の知見を活かし、障害者を含めたすべての人が着やすいデザインが特徴で、第1弾として車椅子ユーザーの悩みに応えるチェアーパンツを開発し、「ゾゾタウン」で販売した。

 足に障害があっても着脱しやすくするために、「腰から裾」または「腰から膝」まで開閉できるファスナーをパンツの両脇に取り付けたほか、体重によって圧迫される部分の皮膚が傷つくのを防ぐために、臀部には縫い目を作らない設計とした(画像)。

 
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