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千趣会 シニア層との接点を強化、多角化戦略で成長領域開拓

2024年 8月22日 12:00

 千趣会は、再成長を目指して中核事業である通販事業の構造改革と利益体質への転換、事業ポートフォリオの多様化による成長領域の創出に注力している。

 通販事業の構造改革と利益体質への転換に向け、商品面ではオリジナル商品を中心としたプライシングの見直しや、消費者ニーズを捉えた商品開発およびチャネル特性に応じた商品展開に取り組んでいる。

 販促および販路については、自社の通販チャネルに限らず、外部ECモールやリアル店舗など、消費者の集まる場所に売り場を用意するのに加え、顧客一人ひとりに対してカタログとデジタルそれぞれの特性を踏まえた売り場を展開するほか、会員向け優待サービスのリニューアルなど、顧客接点の強化を図っている。

 具体的な取り組み事例としては、今年4月19日に60代後半から70代のアクティブシニア世代をターゲットにしたライフスタイル提案カタログ「わたしの彩り」を創刊した(画像(上))。

 同媒体では、体型変化をスタイリッシュにカバーする工夫や気分の上がる色使いとデザインのファッションアイテムを中心に展開。カタログは見やすさを重視し、大きめの文字や写真を使用し、1商品ずる丁寧に説明を入れるほか、シニア層と同世代のモデルを起用して”私向け”を感じてもらえるようにしている。

 千趣会では、2019年11月に50代後半から60代の女性に向けてファッションやビューティーアイテムを提案するカタログ「花笑むとき」を創刊し好評を得ていることから、さらに上の世代にも調査やインタビューを行った結果、「近所でもきちんとした格好をしたい」「旅行をもっと楽しみたい」など、60代後半から70代ならではの消費マインドが分かった。

 そこで、当該層のニーズに即したテストカタログを昨年秋に発刊して好感触を得たことから、今年4月に「わたしの彩り」を創刊したという。

 また、顧客エンゲージメントの向上を図る取り組みとしては、7月5日にベルメゾンの優待サービスをリニューアル。レギュラー会員でも税込7990円以上の買い物で送料無料にしたほか、会員ステージの算定基準から買い物の回数を廃止し、累計買い上げ金額だけで算定するなど、より顧客視点で分かりやすく、シンプルな会員プログラムに刷新した。

 事業ポートフォリオの多様化については、資本業務提携を結ぶJR東日本との共創を強化。これまで、JR東日本が運営するECモールにベルメゾンをはじめとする複数店舗を出店しているほか、JR東日本グループであるルミネが運営するECモール「アイルミネ」の物流を千趣会グループの物流センターでサポートを始めた。

 また、JR東日本管轄の駅構内や駅ビルなどに千趣会の実店舗を出店。ディズニーファンに人気のカタログ「ディズニーファンタジーショップ・バイ・ベルメゾン」のリアル店舗を東京駅構内と東京・蒲田の複合施設「グランデュオ蒲田」で展開しており、とくに東京駅店の今年1~6月の売り上げは前年同期比52%増と好調で、4月1日からは営業時間を拡大している(画像(下))。

 また、ベルメゾンのアウトレット店舗の期間限定出店も強化しており、3月中旬から5月初旬までは岩手の駅ビル「フェザン」に出店したほか、5月中旬から9月初旬までは東京・国分寺の商業施設「セレオ国分寺」に展開している。

 加えて、8月3日からは住宅メーカーのLibWork(リブワーク)との協業で住宅販売に進出した。

 千趣会のブランド「ベルメゾンデイズ」がプロデュースし、30~40代の共働き世帯をメインターゲットに家事や育児の負担を軽減する間取りと設備を備えた新築戸建て注文住宅「ベルメゾンデイズハウス」を開発し、千葉市内にモデルハウスを展開している。
 
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