TSUHAN SHIMBUN ONLINE

インターネット・ビジネス・フロンティア株式会社
記事カテゴリ一覧

売上高合計は8%減<コールセンター売上高ランキング> 23年度はコロナ関連需要が一服

2024年 9月19日 12:00

 通販新聞社はこのほど、コールセンター事業を手がける主な企業の2023年度売上高を調査した。上位35社の合計売上高は1兆2556億2500万円で、22年度比で8・2%減少した。減収企業は35社の内、15社。当期は新型コロナウイルス関連の公共系業務の需要が減少したことで、減収となったケースが見られている。また、AIをはじめとした新たなソリューションを活用する企業は依然として増えており、クライアント企業の効率化に資するような提案が今後の鍵を握ることが予想される。(※表は週刊通販新聞本紙で掲載した1~35位までの売上高ランキングから上位10位のみ掲載。2~3面にコールセンターのソリューション特集)

 
 コールセンター売上高ランキング35社に関して、23年度の状況や注目企業について見ていく。

 1位は前年に引き続き、トランスコスモス。コロナ関連業務の減少をはじめ、中国EC事業の需要減少の影響などで減収となった。一方で、コロナ関連を除いたCX・BPOサービスについては売り上げの成長が継続している。

 2位はアルティウスリンク。前回の22年度調査で3位のりらいあコミュニケーションズと、4位だったKDDIエボルバが、昨年9月1日に経営統合したもの。代表取締役社長にはりらいあコミュニケーションズの網野孝社長が、代表取締役副社長にはKDDIエボルバの若槻肇社長が就任。統合により事業規模が拡大している。

 3位はベルシステム24ホールディングス。基礎業務は増加したもののコロナなどの国策関連業務の減少により、売上収益、営業利益共に前年度比で減少となった。

金融関連の案件で拡大も

 4位はプレステージ・インターナショナル。カスタマー事業でのコロナ関連業務が上期で完全に終了したものの、金融保証事業やグローバル事業、オートモーティブ事業が好調だったことで、増収となった。5位のTMJは、新規受注を進めるも、コロナ業務の剥離に加え、特定クライアントの業務縮小・拡張計画の見直しを受けて減収減益となっている。

 6位のNTTマーケティングアクトProCXは、コロナ関連コールセンター業務の需要減に伴う減収が見られた。8位のビーウィズは、1年以上の長期にわたる継続案件の新規獲得や既存業務の拡大に注力したことが奏功。通販では化粧品やネットスーパー案件などが堅調で、そのほかは、金融で新NISA開始や窓口集約の流れをきっかけに受注が増加。電力などのライフライン業界は、地方電力の案件拡大が進んでいる。11位の日立システムズは、公共大型案件の受注により売上高が増加。業種SEと連携した情シス部門向けBPOや、給付金関係から拡大した自治体BPOが堅調に増加している。

 12位はギグワークス。引き続き業績については成長し、新規案件受託も伸長。今後、拡大が見込まれる案件の受託もあった。労働市場の枯渇に伴い、人手不足から新規での引き合いが増えている傾向にあるため、テレワーク・AIを活用して売り上げ拡大を図っている。14位の富士通コミュニケーションサービスは、グループ連携商談の増加やインターネットサービス事業関連などの既存ビジネスが堅調に拡大。特にBtoB向けサービスの拡大が増収に貢献しており、また、顧客への単価増に向けた、価格転嫁の取り組みにおいても売り上げ拡大につながった。

DX化推進で新規需要獲得

 16位のキューアンドエーは、コロナ関連でのユーザー窓口案件や、主要クライアントのグループ会社内製化によるBPO案件などのクローズが響き減収。一方で政府のDX推進加速によるテクニカル分野のBPO事業やDX・インサイドセールス事業、機器補償関連事業などは伸長した。加えて、オフィス事務アウトソーシングニーズの高まりによるオフィス事務BPO業務やAI自動応答の独自デジタル関連サービス業務の新規獲得も見られている。18位のかんでんCSフォーラムは、コロナ対応業務といった大型スポット特需がなくなったことで減収だったが、通販関連業務の売り上げは拡大している。21位はWOWOWコミュニケーションズ。コロナ関連業務の終了に伴う減少が見られた。

 27位のベルウェール渋谷は既存の通販企業案件で拡大できたほか、小売り企業での新規案件開拓などが進行。また、官公庁のDX施策のサポート案件も伸びたほか、ヘルスサイエンス関連事業での需要獲得も増収に寄与した。33位のTACTは一過性売り上げのコロナ関連業務があったためとしている。34位のアイ・エヌ・ジー・ドットコムは、利益重視の戦略に移行したこともあり、売上高では微減となったが、引き続き、通販企業などのクライアントの案件は伸長した。

 
楽天 先進的な施策展開するECを表彰する「次世代コマース大賞2024」 通販売上高ランキングのデータ販売