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消費者庁の行政処分について

2017年 2月23日 10:50

 「一粒で二度おいしい」といえば昔懐かしいグリコのキャッチフレーズだ。これを思い起こさせるような事例が続いている。消費者庁による行政処分だ。

 刑法には「一事不再理」という原則があるが、そんなことなど消費者庁はお構いなしらしい。1月には三菱自の燃費不正問題を巡り、国交省による改善指示や罰則、自主的な賠償金の支払いが行われる中で同社に5億円の課徴金を科した。2月にはトクホの許可を取り消した日本サプリメントを措置命令で追撃した。

 確かに2社が犯した違反は重い。だが、2社の事案は「誤認の排除」という景品表示法適用の目的からは外れるだろう。すでに多くの報道機関が問題発覚時点でこれを報じ、「誤認」は排除されていた、といえるためだ。

 行政のある元執行担当官は、「最近の消費者庁による景表法運用は、『既往の行為(すでに終わった行為)』にも厳しい態度で臨むケースが増えている」という。ただ、処分せずとも2社にはすでに社会的制裁が加えられていた。

 いずれも違反を認めている事案。証拠集めに労力はかからない。日本サプリメントには今後、課徴金が科される可能性も残されているが、単品訴求が多い健康食品通販では業績に与える影響が深刻だ。「溺れる犬を棒で叩け」ではないが弱った者にさらに追い打ちをかけ、実績を積むことが消費者庁が行うべき消費者利益の保護なのか。
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