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おせちネット販売の現状・その1 「お試し」など早期受注が奏功し注文増

2011年11月17日 18:19

8kata.JPG "おせち"のネット販売の予約が好調だ。仮想モールを例に挙げると、現時点での楽天やヤフーなどの売り上げは、それぞれ前年同期比で30~60%増と大幅に伸長。ぐるなびでも2倍の成長を見込むなど各社、急拡大している状況だ。昨年末には「スカスカおせち」問題があったが風評被害などはなく、むしろ震災の影響による「きずな消費」の高まりや、「おせち」のネット購入の定着化などが成長を後押ししているという。2回にわたって「おせち」のネット販売の現状をみていく。

 楽天では、8月から仮想モール「楽天市場」でおせちの予約販売を開始している。10月末時点での売り上げは、昨年の約60%増と大幅に伸長。「お試し」商品の増加や早期予約割引の実施などが奏功しているようだ。

 同社は現在、「おせち&年越し特集」を展開。送料無料商品や早期割引商品、有名店の商品などをアピールしている。

 平均単価は1万5000円~2万円程度。4~5人用の商品が最も人気だが、近年は「1人用」や「子供用」「愛犬用」などユニークなおせちもよく売れているという。

 今年の傾向は「お試し」商品の増加。500円~2000円程度の安価な「おせち」を提供するもので、事前に味見してもらうことで品質をアピールできるメリットがある。「お試し」は2008年ごろからの傾向だが、今年に入って急激に増加。「『スカスカおせち』問題があったので、消費者の不安を払拭する目的で始めた店舗は多いのでは」(同)という。8月から10月上旬までの期間が受注のピークのようだ。

 また、商品レビューの価値が高まっているのも今年の特徴。高単価商材のレビュー価値が高いのは他商品も同様だが、品質へのチェックが厳しくなっているため、特にそうした傾向が強いようだ。

 ヤフーも現在、「ヤフー!ショッピング」内の専用コンテンツで「おせち料理」特集を展開。10月の取扱高は前年同期比30%増と順調に推移している。「10月上旬は2倍、3倍だった」(ヤフー)とし、特に手ごろな価格で豪華な商品や有名シェフの商品などが人気で、早期に受注が集中したようだ。

 今年の傾向として、「ヤフー!ショッピング」でも楽天と同様、1000円台の「お試し」の利用が拡大。提供する店舗数が増加したこともあり、「お試し」の取扱高は「前年同期比で340%増」(同)まで伸長した。

 また、「スイーツおせち」など独特のおせちが増えたことも今年の傾向だという。ユーザーの増加に合わせて選択肢の幅も広げているようだ。

 今後は「年末年始特集」などで販促。年末のニーズを取り込み、成長を維持する構えだ。

 ぐるなびは、仮想モール「ぐるなび食市場」で、今期おせち商戦は前年比2倍を見込んでいる。昨年の「スカスカおせち問題」を受け、おせち販売の店舗数や品ぞろえをサイト上に提示し安心感を醸成。3~4人前の和洋折衷おせちが人気で、過去の人気店舗を中心に早期受注を獲得している。

 同社は8月24日からおせち商戦を開始。11月11日現在で150店舗、492アイテムを扱う。ネット購入に対する安心感を高めるため、出店数や商品数をサイトに掲載。初出店店舗はテストマーケティングと位置付け、確実に販売できる数量のみ取り扱うことにした。

 人気は板前魂の「三段重 和風おせち料理 梅柄重箱『慶(よろこび)』」(税込9980円)や、築地若竹の「おせち料理 『恵比寿』6・5寸三段重箱」(税込9800円)など。いずれも過去の人気店舗で、数千台規模の受注を獲得しているようだ。

 販促はポイントより送料無料が有効で、早期受注のお得感への理解が深まっているとしている。

 11月と12月は限定おせちを販売。また、新コンテンツ「安心安全おせちランキング」を開始。ネット購入への不安を払拭する考えだ。

クーポン系の今年の状況は?

 一方、今年の正月に「スカスカおせち」で世間の注目を集めたグルーポン・ジャパンなど、クーポン系事業者はどう出るのか。グルーポン・ジャパンは、親会社である米グルーポン社が米ナスダック市場に上場したことから、「(上場後の)沈黙期間中のため一切お答えできない」と回答。年末のおせち商戦で「汚名返上」を図るかは不明だ。

 「ポンパレ」を運営するリクルートでは、昨年に続き今年もおせちを扱う予定。すでに数社から販売のオファーを受けているようだ。ただ、「スカスカおせち問題」で周囲の目線が厳しくなっていると判断し、扱いについて審査体制を通常よりも厚くして対応するという。

 商品提供企業の生産計画や稼働状況などを精査し供給できるかを見極めて、問題なければサイトに掲載する。予定では12月からの販売になりそうだ。

 シェアリーでもクーポンサイト「シェアリー」を通じて、著名人が企画した限定おせちを先行発売する予定。同社によると「これまでも食品の通販を行っており、問題なく提供できる」としており、今年のおせち商戦に期待を寄せている。(つづく)
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