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ハウス食品 ビッグデータ活用しカレー開発、「ロハコ」と組みEC限定で

2017年11月 9日 13:13

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 ハウス食品がアスクルと組んで"ビッグデータ"を活用したレトルトカレーを開発し、EC限定で販売を始めた。アスクルの通販サイト「ロハコ」に寄せられた商品レビューの分析や顧客へのウェブアンケート、グループインタビューなどを通じ、商品化した「辛口のバターチキンカレー」を11月2日から「ロハコ」で発売した。「好きな人は好きな味でリピートはかなりあるはず。長く売れ筋上位に入り続けるような商品だと期待している」(ハウス食品・豊田陽介事業戦略本部チームマネージャー)としている。反応を見ながら今後も、アスクルとのコラボカレーの開発を進めていきたい考えだ。アスクルでも初のビッグデータを活用して開発した商品に期待を寄せており、売れ行きなど反応を見ながら、他のメーカーにも横展開していきたい考えだ。

 ハウス食品が11月2日からアスクルが運営する日用品通販サイト「LOHACO(ロハコ)」で販売を開始したレトルトカレー「ペパー香る!バターチキンカレー 辛口」(税込298円)は「ロハコ」の顧客の声を活用して開発した商品だ。

 昨年11月に「ロハコ」が自社精米の米「ろはこ米」の拡販などを目的に展開しはじめた企画全国のメーカーの中で手作りや伝統を大切にした製法や国産や無添加など原材料にこだわった食品を製造しているメーカーを厳選し、それぞれのメーカーが「ロハコ」専用に"ご飯に合う"加工食品を開発した「LOHACOごはんのおとも」の全22商品の1つとして、ハウス食品ではレトルトカレー「スパイス香る!キーマカレー」および「じっくり煮込んだほぐし牛肉カレー」を開発・発売したが「『ごはんのおとも』全体も売れ行きがよい中、(ハウス食品の)カレーの売り上げは断トツで1位。また、レトルトカレーのカテゴリーで見てもナンバーワンで、2商品で同カテゴリーのシェアの10%を占めるヒットになった」(アスクルの立花智子フード/リカー事業部MD)と好評だったことから、今年11月2日に投入する「ごはんのおとも」の第2弾に合わせて、再び「ロハコ」限定のレトルトカレーの開発に着手。「どうせやるならば昨年より踏み込んだものを作りたいとアスクルさんと話し合い、『ロハコ』のビックデータを活用して開発することにした」(豊田氏)という。

 新たなレトルトカレーの開発にあたっては、まず「ロハコ」で最も売れているレトルトカレーである「バターチキンカレー」の商品レビューのテキストマイニングを行い、「甘くて食べにくい」や「もっと辛いのがあればいいのに」といった声を発見した上で、改めてレトルトカレーの購入実績客約2800人にバターチキンカレーに関するし好などを聞いたウェブアンケート調査を実施した。この結果をもとに辛口のバターチキンカレーを試作。再度、「ロハコ」で辛口のレトルトカレーを購入したこのある顧客、約60人に対し、他メーカーの既存のバターチキンカレーとナショナルブランドのカレー、試作用カレーの3食のブラインド試食会を実施し、8割が「おいしい」「買いたい」とした試作品をベースに商品化した。「一般的にバターチキンカレーはマイルドな甘口のものが多いが、このカレーはバターのコクに加えて、スパイスの効いた辛口のバターチキンカレーでこれまで市場にはなかったもの。ビッグデータをもとに『ロハコ』のお客様に寄り添って開発できたこれまでにない商品」(立花氏)という。

 売れ行きのよい昨年発売の2つの「ロハコ」限定カレーに加えて、今回のバターチキンカレーを投入することで「3商品で『ロハコ』のレトルトカレーの売上シェアの15%くらいまで目指したい。バターチキンカレーは皆に受ける大衆の味を作るのが得意な当社が今回に限ってターゲットを絞って作ったもの。間口は狭いが、好きな人は好きな味でリピートはかなりあるはず。瞬間風速的な売れ行きでなく、長く売れ筋上位に入り続けるような商品だと期待している」(豊田氏)としており、今回の売れ行きを見ながら、今後もビッグデータを活用しながら、例えばグリーンカレーなど「ロハコ」限定の新たなレトルトカレーに着手していきたい考えのようだ。

 「ロハコ」の購買データなどのビッグデータを提供して、メーカーがマーケティング施策に活用する事例はこれまでもあったが、直接的に商品の開発に活用する試みは今回のバターチキンカレーが初めてで「本当の意味でお客様に寄り添った商品を作るための1つの手法。他のメーカーにも同様に提案して横展開していきたい。ロハコでしか購入できないよい商品を開発して商品をきっかけに新規客獲得やリピーターの育成につなげたい」(立花氏)としている。

 なお、11月2日に「ロハコ」で販売を開始した「ごはんのおもと」の第2弾はハウス食品のカレーのほか、宮城県の缶詰加工メーカーのミヤカンと長野県の味噌メーカーのひかり味噌が共同開発した「ミヤカン×ひかり味噌 綾糀使用 三陸水揚げ 鯖の味噌煮」など9商品のほか、今回、新たに展開するパンやパスタに合うおかず「パン・パスタのおとも」では野菜たっぷりのレトルトスープ「野菜を食べるミネストローネ」(SSKセールス)や「黒胡麻リッチメープル」(タクセイ)など13商品を展開している。


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【食品担当者に聞く

「ロハコ」で長く売れる商品に



 「ロハコ」限定のレトルトカレー「ペパー香る!バターチキンカレー 辛口」の開発を担当したハウス食品の豊田陽介事業戦略本部チームマネージャー(=写真)に商品開発の経緯や特徴、今後について聞いた。
                     ◇

 ――今回のバターチキンカレーは昨年、「ロハコ」限定したレトルトカレーに続く第2弾となるが、昨年の商品はどうだったのか。

 「価格は298円と一般的な売れ筋の100円台のレトルトカレーと比べると高めの価格設定だったが、昨年、発売した2商品は想定以上の売れ行きだった。味はもちろんだが、お客様のレビューを見ると、『こんなかわいいパッケージを見たのは初めて』とか『かわいいので友達の家に遊びに行く時にもお土産としてもっていける』というコメントを多く頂けており、当社としてはチャレンジだったが、こだわったパッケージなどもお客様に受け入れられたようだ。また、レトルトカレーというと"手抜き"という罪悪感を持つお客様もいると思うが、チーズや卵を乗せて試して頂く提案を商品ページでできたことなどもひと手間を加えたという罪悪感を払しょくする上で大きかったのではないか」

 ――ECに限定した商品はほかにもあるのか。

 「全国に同じものをお届けするという開発の形がほとんどだが、最近では様々な流通に向けて限定商品を少しずつ開発しており、EC限定商品もその一環だ。ただ、EC限定商品は『ロハコ』のみで展開している。レトルトカレーは年配の男性に多く支持されているが、当社としては20~40代の女性というこれまであまりリーチできていなかった層にリーチしたいと考えており、『ロハコ』ではそれができると思ったこと。また、売りっぱなしではなく、どんな人が買ったのか。どのページを経由して売れたのかなどのデータを提供してもらえ、当社としてはそうした知見を獲得したいと考えて『ロハコ』で限定商品を展開している」

 ――今回のバターチキンカレーの特徴は。

 「もともと『ロハコ』で売れ筋であったバターチキンカレーのお客様の声を分析し出てきた"辛口"というキーワードもともに開発した商品でバターや生クリームの濃厚な味わいにブラックとレッドの2種類のペパーの華やかな香り立ちを入れた大人の辛口カレーだ。また、今回もパッケージデザインにもこだわり、2つのペパーをモチーフとしたかわいらしいデザインにした」

 ――売り上げの目標は。

 「"辛口"ということでターゲットを狭めているため、瞬間風速的な売り上げというよりも、好きな人には非常に好きな味にできたと思う。リピーターもかなり期待できるはず。じわじわと売れて長く『ロハコ』のレトルトカレーでトップ10に入るような商品になってくれると思う。昨年の2商品と合わせて、レトルトカレーカテゴリーのシェアを15%くらいまで獲得できればと思う」


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