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アマゾンの活用術・明治座、公演グッズをネット販売、"通販の仕組みゼロ"から短期間で成果

2013年 4月 5日 14:22

5-2 .jpg演劇興行などを手がけている明治座(本社・東京都中央区、三田芳裕社長)は今年から公演グッズのネット販売を開始した。自社で通販の仕組みやノウハウを持っていなかったが、事業者に販売プラットフォームを提供する「Amazon.co.jp(アマゾン)」のマーケットプレイスを活用することで作業負担やコストを抑えながら短期間で成果を出している。

 これまで同社は公演期間中に、劇場内の売店でのみ公演グッズを販売していた。自社で運営するウェブサイトもあったが公演情報の発信やチケット販売、弁当予約などが主な役割で、グッズ自体のネット販売は行っていなかった。

 しかし、今年4月の創業140周年を迎えるに当たり、同社初となる「韓国ミュージカル公演光化門恋歌」を1月に開催(25日間30公演)。通常の公演よりもグッズ売り上げの規模が大きくなることが見込まれたため店頭だけでは十分に対応できないと判断し、アマゾンへの出店を決めたという。「日替わりで人気のK―POPスターが出演する公演だが座席数には限りがあるため、満席で明治座の公演に来られなかった顧客にもグッズで公演の雰囲気を味わってもらいたかった」(三田光政執行役員)と経緯を振り返る。

 同社が出店を申し込んだのは12月末で、千秋楽の1月末にはすでにアマゾンでの販売を開始していた。「スピード感は重視していた。実際に1カ月弱で対応してもらえたので、メールマガジンで公演御礼と一緒に『アマゾンでも販売を開始しました』と告知できた」(同)とする。

 商品数は開始当初から徐々に拡大し、3月末現在は公演プログラム、DVD、ミニのぼり、舞台写真の詰め合わせ、ポスターなど合計21点を取り扱っている。販売開始から約5週間が経過した時点での売り上げは計画値の2倍を記録。顧客は北海道から九州まで全国に及ぶなど、アマゾンに出店したことで同社にとっては新たな顧客開拓にもつながった。

FBAで作業短縮


 舞台公演が本業の同社にとって、ネット販売は専門外の業務。

 これまでも、電話などで要望があったごく一部の顧客に対しては郵送によるグッズ販売に応じていたが、仕入れ関連の部署が手分けしながら通常業務と並行して現金書留による入金確認、発送作業、商品受け取りの電話確認などを行うもので、非常に非効率だった。

 そこでアマゾン出店と同時に、オプションサービスである「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を利用。注文処理や梱包、出荷、配送・返品のカスタマーサービスを自社で行うことなくアマゾンに任せた。同社が新たに始めたネット販売にかかる作業は、「1アイテムにつき数分の商品登録作業と、在庫が少なくなってきたらアマゾンから配信される自動メールを見て商品をアマゾンの倉庫に納品するだけ」(三田執行役員)と語る。

アフィリエイト活用

 また、同社は「Amazonアソシエイト(アフィリエイト)・プログラム」も活用している。同サービスは自社サイト内に設けた商品ページを顧客がクリックすることでアマゾンの購入ページに誘導されるもの。

 決済などはすべてアマゾンの仕組みを利用するため自社サイトに通販の機能を入れることが不要。さらにアフィリエイトで手数料収入も得られるため、コストメリットは非常に大きいという。

 今後も同社ではアマゾンの活用範囲を広げていく考えで、若年層ファンの多い他の公演グッズや食品類、チケット販売などで連携することを模索している。

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