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イオンサヴール 冷凍食品「ピカール」EC強化、大型仮想モールへの出店も

2024年 4月18日 12:00

 イオンの子会社で冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」を展開するイオンサヴールは、通販サイトの本格運用に向けて取り組みを強化している。

 ピカールはフランスの冷凍食品ブランドで、世界19カ国以上で事業を展開している。日本国内においてはイオンと組み2016年に東京・青山に1号店をオープン。ほぼ同時期に自社通販サイトを開設した。

 EC事業部の小坂亨子部長(写真㊤)は「コロナ禍やテレビ番組での商品露出機会の増加などにより、2020年以降は通販事業が急成長した。しかし、オペレーションは創業時と変わらず、受注から出荷までの流れや在庫管理などの業務をほぼ店舗で対応していた。クリスマスなどの繁忙期の注文は通常の2倍以上となるが、その時期は社員総出で乗り越えている状況だった」とし、ECのさらなる拡大を目指すため物流改革に着手したという。

 「体制を整備するため、まずは配送業務を外注した。長期的な視点でシステム連携や対応面の柔軟性など、パートナーとして伴奏してくれる物流会社を選定した」(小坂部長)とし、23年9月に3PL(サードパーティロジスティクス)へ業務を委託。このタイミングで配送会社を切り替え、埼玉県内の倉庫から直送を開始した。冷凍食品という性質上、特に夏場の配送品質管理を重視し、梱包資材の確認など、課題抽出や最適化を進めてきたとする。合わせて、より効率的なECプラットフォームへリプレイスし、注文管理システムも新規導入した。

 今年度中に大型仮想モールへの出店も計画する。また、新たな取り組みとして、通販サイトにて会員プログラムを新設し、年間の購入金額に応じたサービス提供を実施していくとしている。

平均CVRは2%強

 自社通販サイトの登録会員数は非開示だが、「年々伸長しており、平均コンバージョン率は2%強と高い。購入単価も店頭の購入単価に比べ約3倍強と高い」(同)とする。顧客層は40~50代の女性層が中心。

 なお、配送会社の料金値上げに伴い4月1日から送料を改定した。一律税込110円の値上げとなる。「昨年9月に送料の値下げをしたが資材費の高騰により維持できなくなった。配送品質により重点を置いていく」(同)としている。

 実店舗は東京・神奈川で計11店。このほかイオン・イオンスタイルをはじめ都心の高級スーパーの冷凍食品コーナーにて「プティピカール」を展開し、幅広い層への認知拡大を進めている。

 課題は新規顧客の獲得。商品数は全体で約350種類と多く、商品名もフランス語で分かりにくいため、通販サイトでは売れ筋の商品を詰め合わせた通販限定のセット商品を割引価格で提供し、初回購入を促している。また、料理研究家がアレンジレシピを紹介するインスタライブは、アーカイブも含めた視聴数が5000~6000に上るなど人気で、商品理解の促進にもつながっているようだ。

 今後は店舗とECの顧客情報を連携し、相互送客につながるサービスを強化する。フランス製造による原材料へのこだわりや品質の高さ、環境に配慮した商品性についても訴求していく考え。
 
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