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アマゾンの活用術・クリアス 予想外だった海外からの注文殺到、手間かけずに海外販売実現

2013年 5月20日 17:46

 「初めから意図していたわけではなかったのですが、ひょんなことから海外販売の可能性を見出しました」と語るのはクリアス(本社・東京都三鷹市)の山福国君社長。同社は事業者に販売プラットフォームを提供する「Amazon.co.jp(アマゾン)」のマーケットプレイスを活用して、国内だけにとどまらず海外にも雑貨商品のネット販売を展開し売り上げを伸ばしている。

051.jpg 同社がネット販売を開始したのは昨年5月で、当初から自社通販サイト開設と並行してアマゾンにも出店した。「通販サイトは作るよりもアクセスを集めることが難しいが、アマゾンはすでに圧倒的な集客力がある。『楽天市場』や『ヤフー!ショッピング』も検討はしたが、自社サイトも含めてネット販売を担当しているのは社長の私を含めて2人だけ。集客や店舗づくりの手間をかけずに運営できることからアマゾンを選んだ」(山福社長)と出店の経緯を振り返る。

 同社では主にスマートフォン関連のアクセサリーやキャラクターグッズなど1000点以上を取り扱っており、価格は2000~3000円台が中心となっている。

 同社はアマゾンでの販売開始時は、海外の顧客を意識していたわけではなかった。配送可能地域の設定の際、たまたま海外も選択していたところ、海外からの注文が次々と入ってきたという。

 特に海外でも利用者が増えているスマートフォン向け無料通話・チャットアプリ「LINE」のキャラクターグッズを出品したところ、タイなどのアジア圏を中心に注文が殺到した。「現地ではメーカー正規品の入手が難しい背景もあり、多少価格が高くなっても信頼できる日本企業を通じて買いたいというニーズが高まっている」(同)と分析する。

 また、国内の売れ筋商品が海外で遅れてブームになることや意外なニッチ商品がヒットする事例もあるため、国内では在庫になってしまった商品も海外でさばくことが期待できるようだ。

 現在のところ海外展開に関する自社での主な業務は商品発送のみ。配送期間の短さや荷物追跡できる機能、紛失保証などがあることから物流には日本郵便の「国際スピード郵便(EMS)」を利用。「海外向けサイトに出品する手間もなく、国内向けとほぼ変わらない業務で海外の顧客に販売できるのは大きなメリット。販売手数料も国内と同一。決済は全てアマゾンが代行しているので、海外からの入金確認が不要で、代金未回収のリスクや為替の問題もない」(山福社長)という。

 商品の問い合わせメールも色の確認など比較的シンプルな質問が多く、「基礎的な英語力で十分対応できる。海外からの注文では今まで一度も返品・返金リクエストを受けたことがない。また外国人の顧客が、英語で評価(カスタマーレビュー)を入れてくれることもあり、更なる海外からの受注につながっている。リピーターも多く、彼らから海外向け商品の仕入れ情報を得られることも多い。国内向けの販売だけではわからなかった海外のニーズを知ることができた」(山福社長)という。

 また、新商品の仕入れをする際にはアマゾンのランキングデータを有効活用している。アマゾンではサイト上に表示されたヒット商品ランキング以外に、出店者向けに「出品推奨レポート」を定期的に無料で提供している。同レポートは、カテゴリー別に売上数や閲覧数の上位の商品情報、アマゾンの直販部門で「品薄状態」となる可能性がある商品情報を確認できるようになっている。「国内卸業者からの情報と合わせてこのレポートを見ることで、アマゾンでの売れ筋商品を見極めて効率的な仕入れを行うことができる」(同)とした。

 現在同社の海外売り上げは国内の半分程度だが、将来的にはこれを国内と同水準まで引き上げることを目指している。そのため海外からの注文が多く入る商品は、商品名や説明文に英語表記を徐々に加える予定。また、日本ならではの商材として海外でも人気の高いアニメ関連グッズを取り扱うことも検討している。
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