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【三越伊勢丹 EC限定ブランドの挑戦】 顧客の生の声を服作りに反映、ポップアップ店でサイズ不安解消へ、MDにビッグデータ活用も

2019年 8月 8日 15:00

 三越伊勢丹は、20代~30代女性をターゲットに、インフルエンサーやユーザーのリアルな意見とトレンドを反映した衣料品やファッショングッズを提案するオンライン限定ブランド「arm in arm(アームインアーム)」を今春からスタートしている。

 同社のSPA型ブランドは従来、百貨店店頭に必要なアイテム、バイヤーの審美眼をベースにしたトレンドアイテムなどを開発してきたが、「アームインアーム」ではインスタのストリーズでアンケートを実施してスカート丈の長さを決めたり、座談会を開いてユーザーの細かい要望をヒアリングするなど、消費者と一緒に物作りを行うのが特徴で、普段は百貨店との接点が少ない比較的若い層をウェブチャネルで開拓する狙いだ。

 今春夏はテーパードパンツやワイドパンツ、バンドカラーシャツ、カジュアルコットンTシャツなどを、座談会での意見を取り入れて商品化。デザインや品質、価格などのバランスがいいこともあってターゲット層が購入しており、リピーターも増えているという。

 インスタライブでゲストを呼んで商品を紹介したり、着こなし術を指南する取り組みも奏功し、「アームインアーム」のインスタフォロワー数は約1万人に拡大。リーチできる層が広がってきている。

 今秋冬シーズンからは、衣料品とファッション雑貨に加え、ライフスタイル商材の取り扱いを開始。ターゲット層と親和性の高い食器やタオルなどの販売を始めており、ゆくゆくはキッズ商材なども展開したい意向だ。

 一方、EC限定ブランドとしてサイズへの不安を払拭するため、東京や大阪では試着会を実施しているほか、都内にショールームの設置も予定している。また、8月7日からは伊勢丹浦和店で1週間の期間限定店を開設するほか、9月25日からは銀座三越にポップアップストアを1週間展開する予定で、ブランドの認知向上を図るとともに、商品を手に取れる機会を提供して新客開拓につなげる。

 また、MD面では新たな試みとして、ヤフーと組んでビッグデータを活用した商品開発にも着手。ヤフーの検索キーワードやヤフー知恵袋の質問をもとに困りごとを見える化し、仮説・検証、商品開発を行う。

 具体的には、25歳~35歳の女性は「ロングスカート」を含む検索が多く、”ロングスカートに合わせる服に困っている””身長面で着こなせるか悩んでいる”ことに加え、”自転車の巻き込みを気にしている””トイレで邪魔になる”などのインサイトを得たという。

 三越伊勢丹は、この結果を受けてインスタで一緒にスカートを作りたいママユーザーを募って座談会を実施。自宅で洗える素材の採用や抱っこひもと合わせやすいようにポケットの高さを調整するなど、ママユーザーの意見を盛り込んだほか、小柄な女性でもバランスよく着用できるようにボタンの色や丈についても座談会での意見をもとに決定した。

 9月下旬の販売開始に向けて、でき上ったサンプルを着てもらって意見を聞く場も設け、サンプルのロングスカートは「軽くていい」や「子どもを抱っこしてもポケットが隠れなくていい」などの意見が上がったが、「しゃがむとポケットからスマホが出せない」などの具体的な改善ポイントも見つかり、商品化の際に反映させることになったようだ。

 ヤフーと協業したファッションアイテムの開発はスカート1型で、商品の反響を踏まえながら、今後もビッグデータを活用したアパレル商品の開発を検討していく。
 
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