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新たにサイズ別全国一律料金<ヤフーとヤマト、フルフィルメント刷新> ヤフー仮想モール出店者に提供

2021年 3月18日 13:06

 ヤフーとヤマト運輸は4月1日、ヤフーが運営する「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」に出店するストア向けに提供する「フルフィルメントサービス」をリニューアルし、同サービスなどを利用するストアに対して商品配送運賃でサイズ別の全国一律配送料金を適用する。60サイズの場合には400円(税抜)を下回る全国同一の料金設定にしており、従来に比べ”安い”運賃と見られる。昨年3月にそれぞれの親会社であるZホールディングとヤマトホールディングスが物流に関する業務提携で基本合意しフルフィルメント部門のサービスを提供してきたが、今回、新たに低額な配送運賃を提供し、ヤフーとヤマトが協力してヤフーの仮想モール出店者の物流業務負荷を軽減しストアの販売力強化を支援する。出店者からは「安い」との反応もあり、関心が高いようだ。

 


 今回の配送料金は、ヤマト運輸が提供する商品の受注から保管、出荷までの一連の業務を代行する「フルフィルメントサービス」と、一部の業務を代行する「ピック&デリバリーサービス」を利用した場合に適用する。

 配送料金は、小型荷物用のポスト投函の「ネコポス」が179円(税抜)、新たなEC向け配送の「EAZY(イージー)」と「宅急便」が60サイズ382円(同)、80サイズ424円(同)、100サイズ459円(同)、120サイズ598円(同)、140サイズ925円(同)、160サイズ998円(同)に設定。的確な比較とはならないが、宅急便60サイズの一般向け定価は関東発関東着が930円で、同価格に比べ半分以下となる。また、サイズ別全国一律配送料金は、作業費と資材費が含まれているとし、その費用なども勘案すると非常に低額な設定。今回の料金設定はヤフーとヤマト運輸の協力で実現したという。

 配送料金のほかに要する費用は、在庫保管手数料として1日当たり0・3円(税抜、ネコポス)~24・9円(同、イージー・宅急便160サイズ)。回転率が速い商品ほど、より低額な料金での配送が可能となるようだ。

 このほか、複数商品の同梱が発生する場合に1ピック当たり45~180円の追加費用となる。「有効期限付き入庫登録サービス」や「バーコード貼付サービス」「透明袋入れサービス」などオプションサービスを利用した場合にも追加料金がかかる。

 ヤフーのストアにとっては、全ての物流に関するフルフィルメント業務、あるいは一部の業務の委託がサイズ別全国一律配送料金適用の条件となるが、手間がかかる物流加工業務を自社で省くことができることは特別な運賃も相まってメリット享受は大きいと見られる。3月10日の記者説明会でヤマト運輸EC事業部の中西優部長はサイズ別全国一律配送料金について、「他社と競争できる料金と考える」とし、優位性のある設定であるとの見方を示した。また、ヤマト運輸は今回の新たな運賃適用をはじめとしたサービスのリニューアルで、当面1万ストアの利用を目標にする。

 さらに、サイズ別全国一律配送料金は、ヤフー以外の他の仮想モール(アマゾンや楽天市場など)向け商品の配送も委託した場合も設定。ヤフー向けほどではないものの低額な料金で提供するという。この場合の料金は、ネコポスが230円(税抜)、イージー・宅急便が60サイズ500円(同)、80サイズ560円(同)、100サイズ600円(同)、120サイズ700円(同)、140サイズ940円(同)、160サイズ1000円(同)という具合だ。

 他の「フルフィルメントサービス」のリニューアルに関しは、従来契約に際し個別に見積りを提示した上で書面の手続きを必要としていたものを、ウェブで完結できるようにする。早期の利用を可能にするため、最短1~2日で契約締結が可能になるという。このほかに配送サービスの機能アップとしてイージーによる置き配(5月中旬まで通常の宅急便での配送となる)、原則翌日届けとするが一部エリアでの当日配送(従来も域内配送として「当日便」を提供)にも対応する。

 リニューアルした「フルフィルメントサービス」の申し込みは3月10日から開始しており、サービス提供開始は4月1日(一部サービスは5月から)。

「優良配送」でキャンペーン

 一方、ヤフーは「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」のストアの商品詳細ページで「優良配送」というアイコンの表示を昨年12月16日から開始しているが、今回のヤマト運輸の「フルフィルメントサービス」のリニューアルに伴い「優良配送支援」のキャンペーン第2弾を展開する。現行のキャンペーンは「優良配送」に該当する場合に1注文当たり50円のキャッシュバックに加え、ヤマト運輸の「フルフィルメントサービス」を利用していればさらに50円を追加でキャッシュバックしていたものを、後者の金額を70円に増額して4月1日から1年にわたりキャッシュバックする。

 「優良配送」とは出店者が顧客に提示する商品の配送日を示す「お届け希望日」が”受注日プラス2日以内”としている商品かつ当該出店者の出荷遅延率が一定水準未満(5%未満)である場合にのみが設定できる表示で、ヤフー側がユーザーに対して「この店舗のこの商品はすぐにお届けできます」という”お墨付き”を与えた印となる。

 ヤフーショッピング統括本部事業開発室の山下滋室長は記者説明会で「物流に関する改善を以前から行ってきたが、そのために出店者のコスト負担も必要になり、そこにキャンペーンのキャッシュバックを当ててもらう」とキャンペーンの狙いについて語った。4月からの第2弾でヤフーの仮想モールの配送面での競争力強化につなげていく。

出店者の反応大半が「安い」

 今回のサイズ別全国一律配送料金に対し、出店者などの反応は「安い」というのが大半だ。多くの出店者がヤフー以外の仮想モールにも出店している中、それぞれの物流アウトソース業務と比較、あるいはしばらく様子見をして導入を決めるという意見が見られる。

 食品関連の出店者は「今の配送事業者の料金体系より安いので、非常に魅力的だ。これまでヤフーには力を入れていなかったが、今後は積極的に取り組みたいと思う」。一方、アパレル関連の出店者は「『ヤフーのFBA』という印象だ。良く動く商品を預けることは視野に入れているが、日本郵政が楽天に出資したニュースもあり、物流事業がどうなるか分からない。なので、ヤフー・楽天・アマゾンのどれかを本命にして、たくさん荷物を預けるのはやりにくい状況だ」としている。

 出店者以外の物流関連事業者からも「安い」との意見が寄せられた。「今までに見たことがない料金。価格競争が進展する可能性もあるのでは」(倉庫事業者)としている。


ヤフー山下室長「お得感から“早く届く”へ」
ヤマト運輸中西部長「EC増にしっかり対応」


<記者説明会での一問一答>

 ヤフーとヤマト運輸が3月11日に開催した記者説明会における山下滋ヤフーショッピング統括本部事業開発室室長(写真右)、中西優ヤマト運輸EC事業部部長(写真左)と報道陣との一問一答は以下の通り。

                                                             ◇

 ――サイズ別全国一律配送料金は、大分安い設定となっているが、どれほど低額化しているのか。

 中西部長「これまでは個別見積もりであり、複雑な設定だったので比較は難しい」

 ――「優良配送」はヤマト運輸以外も対象となるのか。

 山下室長「キャリアの指定はない。どこであっても50円、つまり早く届くものに50円のキャッシュバックを行っている。その50円に加え、さらにヤマト運輸のフルフィルメントサービスを利用した場合はプラス50円(4月1日からは70円)をキャッシュバックする。永続的でなく、一定期間のキャンペーンとして取り組んでいる」

 ――昨年3月の発表で川邊社長から楽天、アマゾンを抜くとの発言があったが、今回のリニューアルでは何を目指し、また、1年経ての市場の変化、立ち位置の変化についてどう見ているか。そして課題は何か。

 山下室長「我々はまだ業界3位であり、チャレンジャー。今回もチャレンジャーとして施策を打っている。ここ5年ほどは5倍付与といったポイント施策によるお得感を提示する取り組みを行ってきたが、配送の改善で”安く、早く届く”という大きな戦略へシフトしていくのが今回の取り組み。配送が目下の課題であり、ヤマト運輸の力を借りて改善を行ってきている」

 ――「フルフィルメントサービス」の現状の利用状況と、今回のリニューアルでどの程度利用が増えると見ているか。

 中西部長「非常に多くのストアに使っていただき、要望等も伺っている。現状の数字に関しては控えるが、リニューアルでまずは1万のストアを見込んでいる」

 ――「優良配送」に関する現状のキャンペーンで、対象ストアはどれだけ増えたか。

 山下室長「2月プレススリリース時の6500ストアが1カ月で7500ストアを超えるようになっている」

 ――今回のサイズ別全国一律配送料金で採算はとれるのか。配達業務の負担が増えて利益が取れないことはないか。

 中西部長「サービス(事業)として提供するものであり、採算は取れる。ヤフーといろいろな取り組みを行っていることによりコスト低下に寄与している」

 ――採算は個数を増やすことで可能になるのか。

 中西部長「一定数のストアで利用いただき、ボリューム(メリット)は出ると考えている」

 ――ヤフーとの取り組みを他の仮想モールで行う考えは。

 中西部長「ヤフーと一緒に行っていることであり、他では考えていない」

 ――実質値下げではないか。

 中西部長「値下げ感が強いし、そういった声があがると思う」

 ――当日配送の内容は。

 中西部長「改めて発表するが、関東と関西とを考えており、当初は首都圏エリアで取り組んでいく。イージーによる置き配もあり、これまで以上の利便性をユーザーに提示できる」

 ――アマゾンジャパンのフルフィルメントよりも低額のようであり、価格破壊に近いものと感じるが、ヤフーで危機感があるのか。

 山下室長「アマゾンには周回遅れであり、ヤマトのフルフィルメントサービスは有効なものとなる」

 ――新たな料金での提供がこれまで行えなかった理由は。

 中西部長「より多くのストアに使ってもらうパッケージをヤフーとの協力体制もあり実現した」

 ――当日配送への対応も以前に行えなかったのは。

 中西部長「一番行いやすい環境、つまり我々の倉庫で預かり、我々のネットワークを使うということにより、新たな対応が可能になる」

 ――「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」だけでなく「ヤフオク!」は。

 中西部長「現状は対応していない。検討の可能性はある」

 ――将来的に1位となる、というのは変わらないか。

 山下室長「変わらない。競争して一番選ばれるサービスを目指す」

 ――EC需要が増えている中にあってヤマト運輸は1割強の物量の増加となっているが、サイズ別全国一律配送料金により、さらに荷物が増えてオーバーフローする懸念は。

 中西部長「しっかりとECの拡大に対応するため体制を拡充している。イージーも順調に拡大している。しっかりと対応したい」

 ――宅配クライシスは起きないと。

 中西部長「もちろん」

 
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