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楽天 地方局の番組から物販誘導、配信サイトを開設、地方テレビ13局と提携

2023年 7月20日 12:00

 楽天グループは7月14日、地方テレビ局の番組を配信し、動画ページから物販へと誘導するサイトを開設した。同社では地方放送局13社、ライブ配信サービスを手掛けるLiveParkと提携。特産品などをアピールする動画と同社のサービスを連携させ、視聴者を仮想モール「楽天市場」などに誘導することで、地域産品の販売につなげる狙い(画像=楽天の松村亮常務執行役員(前列右から2人目)と地方局関係者)。
 
 サイト名は「のぞいてニッポン」。参加するテレビ局は、北海道放送・テレビ岩手・テレビ金沢・日本海テレビジョン・RSK山陽放送・瀬戸内海放送・南海放送・RKB毎日放送・サガテレビ・テレビ大分・テレビ宮崎・沖縄テレビの13社。楽天と地方局13社、LiveParkでは、コンソーシアムとして「のぞいてニッポン運営委員会」を設立している。

 サイトでは、各放送局が放送した過去の番組映像のほか、新たに制作するオリジナル映像を配信。仮想モール「楽天市場」や旅行予約サービス「楽天トラベル」、ふるさと納税ポータルサイト「楽天ふるさと納税」と順次連携し、物販や旅行予約、ふるさと納税へとつなげる。

 楽天によれば、地方局の番組を試験的に配信するページを作ったところ、視聴者の90%以上が地域外のユーザーで、67%がコンテンツの視聴後に当該地域に好意的な反応を示したという。そして、視聴者が当該コンテンツ閲覧後、1カ月以内に楽天が運営するサービスの関連するページに来訪したかを検証したところ、約15%が関連地域の産品や旅行、納税に興味を示した。このうち約半数が直近1年間に同様のページへの来訪履歴がない、新規ユーザーだった。

 「のぞいて日本」の運営はLiveParkが担う。コンテンツは、地方局が制作した動画と、ライターが動画の見どころなどを紹介する記事、テーマごとに複数の動画を紹介する記事の3種類。サイトの広告収入を各社でシェアする。広告主としては、自治体からの協賛が考えられるほか、楽天市場や楽天トラベルの出店者からの出稿を楽天がまとめるという。

 楽天市場や楽天トラベルへの遷移は、動画ページから行う。動画にはそれぞれ、紹介された都道府県や市町村などのタグが付与されており、これに連動する形で近隣の宿泊施設へと誘導したり、さらには特産品に関連した映像の場合は、ふるさと納税の返礼品への誘導をしたりする。また、地域の特産品を販売する、楽天市場店舗への誘導も行う予定。

 同日開催された記者会見で、楽天の松村亮常務執行役員は「小売り企業が運営するサイトに情報を掲載してプロモーションをすると効果が高いということで、近年はこうした『リテールメディア』が注目を集めている」とした上で、「当社は楽天市場をスタートした25年前からこうした考え方を取り入れている。リテールメディアが騒がれる中で、当社では一歩先を行くための取り組みをしているが、今回のサービスもその一つだ」と述べ、「のぞいてニッポン」をリテールメディアとして伸ばしていきたい考えを示した。そして「地方局のコンテンツを配信することで地方の魅力を全国に届け、最終的には物販や宿泊施設の予約につなげていきたい。ユーザーには新しいメディアや物販などを提供し、地方の皆さんには経済活性化のきっかけになる。地方局はコンテンツという資産を拡大・活用する機会になる。当社としては、新しい顧客体験を提供していく。ウィン・ウィン・ウィン・ウィンという新しいサービスを作っていきたい」と意気込みを述べた。

 
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