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タマノイ酢 若年層開拓へEC強化、定期購入活用し酢飲料を拡販

2024年 4月25日 12:00

 酢の醸造や販売を手がけているタマノイ酢では通販事業の強化を進めている。近年はECやSNSなどを起点に顧客とのコミュニケーションを深めており、ファン化に向けた取り組みを強化している。

 同社では醸造酢、粉末酢、各種調味料、レトルト食品、菓子、健康飲料などの製造・販売を行っている。近年は食酢業界全体で、酢が健康に与える効果・効能をアピールする機運が高まっていたことから、ダイエットや高血圧の予防など健康志向のニーズを捉えることができている。特に同社の場合は「はちみつ黒酢ダイエット」(1パック125ミリリットル)をはじめとした酢飲料の販売が好調に伸びている。

 通販に関しては昨年に自社通販サイト(画像)をリニューアルして、改めて本格展開するようになった。店頭でも販売している各種酢飲料をはじめ、通販専用商品としては「蜂蜜黒酢ドリンク」(2484円)を販売。伝統的製法の静置発酵による黒酢を使用した商品として訴求している。

 もともと、同社では中高年層を得意としていたが、EC強化の背景には若年層の新規開拓も狙いにあった。とりわけ、はちみつ黒酢ダイエットに関しては6種類のフレーバーを販売しているが、スーパーなどのリアルチャネルでは、売り場のスペースの問題からすべてのフレーバーが陳列される機会が限られていたという。複数のフレーバーを求める顧客からの声を受けて、昨年夏ごろに5種類入ったお試しセットを期間限定で販売。大手モールなどではケース単位のまとめ売りにされていることが多かったが、直販ならではの小ロットからの販売にしたことで、買いやすくなり売り上げを伸ばしていったようだ。

 また、自社通販サイトでは定期購入で通常価格から10%割引、継続購入者への特典サービスなどの企画を続々と展開しており、ファンづくりという観点でも独自のアプローチを図っている。

 定期購入に関しては配送のサイクルを毎月だけでなく、隔月からでも選べるようにしたほか、フレーバーも変えられるなど顧客の好みに合わせるように設計。同社によると、はちみつ黒酢ダイエットの最大の強みとしては、競合他社商品と比べてリピート率の高さがあるという。大手コンビニなどでも長年、棚落ちをしていない商品として継続的な購入が見られていることから、「続けられるおいしさであったり、飲んでいて何かしらの変化を感じられているのでは」(播野貴也社長)と分析。無理なく飲み続けられる商品であることから、定期購入との相性も高いと見ている。

ECを通じてファンと交流

 自社ECに期待する役割としては「売り上げもそうだが、コアなファンをECの中で育てつつ、コミュニケーションをとりながら拡大したい」(同)と説明。特にメーカーの立場としては、顧客のレビューを直接受け取れる貴重な機会になっていることから、サービス改善などに反映できる声は積極的に拾い上げているという。

 過去の事例としては、濃縮タイプ飲料に関して、従来は水や炭酸などで割る飲み方が多かったが、「朝は牛乳で割ってヨーグルト代わりに飲んでいる」という顧客の声を受けて、新しい飲み方の提案のヒントに採用。リアルの小売店において、牛乳売り場で共同販促をかけたほか、牛乳で割る飲み方を訴求したウェブCMも作成して配信するなど、顧客の声からの気づきを形にしていったという。

 そのほか、販促に関してはSNSも活用。現状、「LINE」での友だち登録キャンペーンや、「X」でのフォロー・リポストキャンペーンによる登録者数獲得、「インスタグラム」からのEC誘導などを図っている。

 今後に向けては、引き続き若年層の開拓を重要テーマに掲げている。老舗企業として、ロングセラーの商品を数多く扱う中、次の世代に向けても認知を広げていく作業は欠かせず、時にはリアルイベントなどを活用しながら商品に触れてもらえるきっかけを作っていく考え。
 
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