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東武百貨店、3カ年でネット販売強化、自家需要開拓へ、地方の産品に光

2011年 5月15日 20:14

東武百貨店(本社・東京都豊島区、根津公一社長)は、今期からの3カ年でネット販売を強化する。ギフト商材頼みの通販から脱却を図り、自家需要の開拓に乗り出す。
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 同社では、昨年3月に「ネットビジネス部」を整備して通販担当者を増員。従来の来店促進や中元・歳暮の時期を中心としたネット事業を、年間を通じて売り上げが見込める事業に強化する。

 自家需要の開拓に向けて重視するのが「地域力」の活用だ。一環として、地方の隠れた産品を消費者に紹介するコンテンツ「おいしいもの発掘便」を今年3月に開設。百貨店店頭では安定供給しづらい商品を生産者に無理のない範囲でネット販売することで独自性を出す。

 ネットビジネス部の"発掘人"が全国を回り、生産者に会ってほれ込んだ商品だけを販売しているという。

 「発掘便」は青森、岩手両県の5品目でスタート。直後の震災により、販売停止せざるを得ない状況となったが、現在は再開し、高知県産のフルーツトマトや青森のサバの缶詰などを販売している。

 当初、商品の説明はコピーライターが書いていたが、よりリアル感を出すために発掘人の文章をそのまま掲載するようにした。また、池袋店のレストランの店長に商品を食べてもらい、感想を載せるケースもある。

 年間150本程度しか作れないみかんジュースなどはラベルもなかったため、ネット商材用に共同で作ったという。

 配送面は、産地直送で対応。「地方の空気感を届けたいのと、将来的に生産者自身がネット販売を始める際の勉強になれば」(伊東伸和ネットビジネス部マネージャー)とする。

 販売・プロモーション面では、店頭を活用する。物産展など店内の各種イベントに「発掘便」として参加したり、「オフ会」を開催して、こだわりの食材を使った食事会の開催などを検討している。

 すでに、ゴールデンウィーク中には、東北を応援する直売会を池袋店の屋上や、都内の商品センターで開催したという。

 現状、「発掘便」の告知はハウスカード会員へのメルマガが主体だが、今後はリアルの場を有効活用することで、ハウスカード会員以外へのアプローチにもつなげる。

 東武百貨店では、他社サイトと差別化できるコンテンツとして「発掘便」を強化・育成する考えで、展開商品数は来春をメドに15地域200商品(常時50商品以上)、13年春には20地域300商品(常時70商品以上)を目標とする。

 同社の11年2月期のネット販売売上高は約8億1000万円で、9割が中元・歳暮といったギフト商材だ。

 3カ年の最終年度(14年2月期)にはネット販売で現在の倍以上となる20億円を確保し、そのうち7億円を「発掘便」で販売したい意向だ。

 このため、3カ年計画では食品以外の商材も開拓する。地域の若手陶芸家や漆職人などにスポット
を当て、数量限定のオリジナル製品を受注生産方式で販売。製作工程や苦労話などをネット上で配信し、ワクワク感を高める工夫も行うという。



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