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好調企業の研究・健康ホールディングス 「クッキー依存」から脱却、M&Aも積極展開

2009年11月25日 19:51

 健康ホールディングスの業績が好調だ。2010年3月期は過去最高益を達成する見通しで、08年3月期の最終赤字転落から、V字回復を果たすかっこうだ。業績不振の要因は、ダイエットクッキーの販売低迷や、広告宣伝費の増加にあった。ダイエットクッキー1本やりの単品通販から脱却、美容健康事業に軸足を移すことで収益力を高めている。

 ダイエットクッキーのネット販売で名を馳せ、順調に売り上げを拡大してきた同社(創業当時は健康コーポレーション)の業績が悪化しはじめたのは、07年度のこと。売り上げのほとんどを占めていたダイエットクッキーの類似商品が多数登場し、競争が激化。売り上げ不振に加え、広告宣伝費が重くのしかかかり、08年3月期は赤字に転落した。

 同社では、クッキーの売り上げに依存した体制から脱却すべく、事業の多角化を図った。07年2月に、美容機器の製造やOEMを手がけるジャパンギャルズを買収。08年1月から売り出した家庭用超音波美顔器がネット販売で大ヒットとなった。好調の理由は、「定価3万8,800円の本体を980円で販売」という宣伝文句。専用のジェルを3本購入する必要があるが、割安感から興味を引かれる消費者は多いようだ。

 今期に入ってからも、欠品が出るなど好調を維持。子会社で健康食品や美容機器を販売する、健康コーポレーションの09年9月中間期の営業利益は、2億7,700万円(前年同期は5,600万円の営業損失)。3年前(06年9月中間)の営業利益は、ほとんどがクッキーによるものだったが、現在は売り上げの約8割が美顔器。「ジェルで稼ぐ」という販売形態が奏功し、利益面でも業績回復に大きく貢献している。

 利益が回復したもう1つの理由は、広告を効率の良い媒体に絞ったこと。以前は売り上げを拡大するため、大量に出稿していたが、現在は「黒字になる広告に限定している」(瀬戸健社長)。美顔器だけではなく、クッキーでも利益を出せる体制となった。

 また美顔器では、ジェルを定期的に発送する販売形式を採用しているが、「今後は投資効率を考えて、新規獲得よりもジェルの定期継続に力を入れる」(同)ことで、利益率のさらなる向上を目指す。

 瀬戸社長は「美顔器はダイエットクッキーの5倍の速度で売り上げを伸ばしている」と話す。大手家電メーカーの参入など、美顔器市場の成長性の高さから、同社では今後も売り上げはまだまだ伸ばせると見ているようだ。ただ、同社の場合、ダイエットクッキーで売り上げを伸ばしたものの、類似商品の登場により大きく売り上げを落とした過去がある。同じ轍(てつ)を踏む心配はないのか。

 「誰でも参入できるクッキーに比べて、一定の投資が必要な美顔器は参入障壁が高い。さらには、家電メーカーとも販売形態が違う」(同)。類似商品が登場した場合でも、サービスレベルやブランド力の向上などで差別化を図る考えだ。

 今後はM&A(合併・買収)も積極的に展開する予定で、通販会社の買収も視野に入れる。
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