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アマゾンジャパン 「dポイント」と連携、付与と利用を可能に、経済圏拡大へ

2024年 4月18日 12:00

 アマゾンジャパンは4月10日、NTTドコモのポイントサービス「dポイント」を、同社通販サイトにおいて貯めたり使ったりできるようにすると発表した。あわせて、ドコモの回線契約があるユーザーが、アマゾンの有料会員サービス「アマゾンプライム」の月間プランに登録すると、dポイントが毎月もらえるようにする。アマゾンはドコモ利用者の買い物を促進するほか、ドコモはdポイント経済圏拡大を狙う(画像㊤はアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長(右)とNTTドコモの井伊基之社長)。

 







 アマゾンでの買い物で他社ポイントを獲得・利用できるようにしたのは初めて。同日より「dポイントクラブ」会員は、ドコモとの回線契約が無くとも、アマゾンでの買い物でのdポイント獲得・利用ができるようになった。合計注文金額が5000円以上の注文に対しては、1%分のdポイントが貯まる。dポイントとアマゾンポイントの「両取り」もできる。なお、1回の注文で得られるdポイントの上限は100ポイント。

 ドコモユーザー限定のサービスとしては、ドコモを通じてアマゾンプライムの月間プランに登録すると、dポイント(期間・用途限定)を毎月120ポイント還元。アマゾンプライムへの登録が初めてのユーザーは、月額費600円を3カ月間無料とする(dポイント還元は対象外)。

 また、ドコモの料金プラン「eximo」「ahamo」「ギガホ」契約中のユーザーが、「d払い」で支払った場合は、基本還元分となる注文額の0・5%分に加え、注文額の1%分のdポイント(期間・用途限定)が貯まる。加えて、60歳以上のユーザーがd払いで決済した場合は、さらに1%分のdポイント(同)が加算される。このため、60歳以上のドコモユーザーがd払いで支払った場合はdポイントが3・5%還元される。なお、ボーナス分のdポイントは、1カ月につきそれぞれ100ポイントが上限で、プライム会費や電子書籍などへの支払いは対象外。

 アマゾンでは2018年12月より、ドコモユーザーはd払いでの決済ができるようになっていた。ドコモによれば、取扱高としてはかなり大きな額だったという。また、アマゾンでは「パートナーポイントプログラム」として、JCBカードのポイントサービス「Oki Dokiポイント」や、リクルートグループの「リクルートポイント」のほか、dポイントも支払いの際に利用が可能だった。アマゾンジャパンの鈴木浩司プライム・マーケティング事業統括本部長は「(同プログラムは)パートナーのポイントをアマゾンでの買い物の際に使える取り組みだが、今回の協業に関しては、アマゾンでの買い物に対してdポイントが貯まるし、貯まったポイントもアマゾンで使えるという点が異なっている」と説明。なお、dポイントの原資をどちらが負担するかについては開示していない。

 60歳以上のユーザーへのボーナスポイントが加わったのは、ドコモ側の要望という。「われわれの強みであるドコモショップにもたくさん60歳以上の人がいるので、丁寧に(ECを)教えることができる」(NTTドコモの山本明宏営業戦略部長)。

 ドコモが運営する仮想モール「dショッピング」については、「顧客に選んでもらえるようなサービスにすべく、ドコモの取り組みとして今後も進めていく」(NTTドコモの田原務ウォレットサービス部長)とする。

 10日の記者会見で、アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は「NTTドコモとの協業を通じ、アマゾンにおけるポイント獲得利用体験は、次のステージへと進化する」と宣言。また、NTTドコモの井伊基之社長は「dポイントで顧客の買い物体験を、よりお得に、より便利に変えていく」と連携の狙いを述べた。


「囲い込み」効果どこまで、ポイントの恩恵効果少なく

 「アマゾンで買い物を楽しみながら、dポイントを貯めたり使ったりすることができる。これは本当に画期的な取り組みと考えている」――。

 10日の記者会見で、アマゾンジャパンの鈴木浩司プライム・マーケティング事業統括本部長はこう自賛した。「共通ポイント」という観点でいえば、「楽天ポイント」と「PayPayポイント」はそれぞれ楽天市場・ヤフーショッピングという仮想モールがある。そして「ポンタポイント」はKDDIと連携したことで、「auPAYマーケット」で使えるようになった。「dポイント」は、ドコモの運営する仮想モール「dショッピング」こそあるものの、ECの世界では知名度や流通総額で劣っている点は否めず、ドコモにとってEC強化によるポイント経済圏の拡大が長年の課題となっていた。

 こうした中で連携を発表した、アマゾンとドコモの”強者連合”だが、実態はどうか。「ポイント両取り」ができる点は大きいものの、dポイントが付与されるのは5000円以上の購入で1%、しかも100ポイントが上限のため、1万円以上の買い物は100ポイントしか付かない。また、ドコモ契約者に対する「ボーナスポイント」に関しては、1カ月100ポイントが上限。例えば「楽天市場」であれば、楽天モバイル契約者は通常ポイントにプラス4%(月間獲得上限2000ポイント)付与されることを考えると、インパクトに欠ける。

 ドコモでは「アマゾンと協議した結果、より多くの人たちにdポイントを貯めてもらうべく設定した」(NTTドコモの田原務ウォレットサービス部長)としており、「ポイ活」などに利用されにくい立て付けにしたとみることもできる。とはいえ「今回の条件以外のキャンペーン等についても検討をしていきたい」(同)としていることから、セール時などにポイントを増量する可能性はある。

 アマゾンとしても、「アマゾンペイ」による実店舗でのQRコード決済に対応するなど、アマゾンポイントの共通ポイント化を図っていた節があるものの、現在はQRコード決済の提供を終了。日本市場においては、楽天市場などとの対抗上、ポイントを重視してきたアマゾンだが、「ポイントの使いやすさ」という点では、楽天やヤフーに明確に劣っており、実店舗でも使いやすいdポイントとの提携にはメリットがある。

 また、アマゾンプライムのポイント還元に関しては、月額600円に対し120ポイントが付与されるため、12カ月契約した場合の実質料金は5760円となり、年間契約(5900円)よりも安い。このため、ドコモユーザーのアマゾンプライム入会増が期待できそうだ。

 「ドコモおよびdポイントに関しては戦略的に重要な取り組みだと考えている」(鈴木本部長)と強調するアマゾン。ただ、楽天市場やヤフーショッピングと比較した場合、ポイントによる恩恵は小さく、「囲い込み」にどこまでつながるかは不透明。dポイントを中心とした経済圏を拡大するには、もっと踏み込んだ形での連携が必要になりそうだ。
 
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