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有力各社の次の一手は?―㊦ ニッセンHD、スマホ売り上げ急拡大、店舗のiPad活用も進む

2012年 2月12日 21:59

ニッセンホールディングス(本社・京都市南区、佐村信哉社長)の2011年12月期の通販事業売上高は、前期比2・6%増の1343億4200万円だった。このうち、ネット経由の売上高は同7・5%増の692億円で、ネットの占める割合は、前期から2・5ポイント拡大し、54%となった。

 中でも目立つのがスマートフォンの伸長だ。11年1月のスマートフォン売上高は2800万円で、モバイル売上高に対する割合は2・1%だった。しかし、12月には4億6600万円まで拡大。対モバイルの割合も21・9%となった。通期での売上高は約24億円となっており、モバイル経由の売上高(約212億円)のうち、11%を超えるシェアとなっている。

 ネット販売では、スマートフォンへの対応をさらに進めるほか、サイト全体での「1〓1」に力を入れる。例えば、50代の顧客が「ワンピース」で検索した際に、より合った商品が検索上位に来るようにする、といったものだ。検索結果の最適化に関しては昨年末から取り組んでおり、「正確な数字は出ていないが、手ごたえはある」(佐村信哉社長)という。

 AR(拡張現実)の活用でカタログとモバイルの連携を強化する。端末を画像にかざすと動画が出てくるというもので、カタログに載っていないような説明をしたり、個別に値引きの提案をしたりすることも可能だ。

 また、近年力を入れている、大きめサイズ衣料品の実店舗「スマイルランド」は3店舗体制となっているが、「全店舗が黒字化した」(佐村社長)とする。店舗ではiPadを活用し、在庫のない商品をネットで検索できるようにしているが、この売上高が「10%に達した」(同)という。

 12年12月期は、売上高が前期比2・5%増の1443億円、営業利益は同25・6%増の34億円、当期純利益は同34・6%増の32億円を見込む。いずれも中期経営計画の目標数値には達しない見込みだ。

 前期は上海での人件費増が原価上昇の要因となったことから、今後はベトナムに注力。バングラデシュにも事務所を開設しており、「現在は90%が中国生産だが、それ以外の国での生産を30%まで上げたい」(佐村社長)という。また、気温に左右されにくい体制とするため、化粧品や健康食品を強化する。11年12月期の売上高は44億円だが、今期は50億円以上を見込んでいる。

 苦戦するアパレルの立て直しに向けて、今後はネットのライバルとの価格競争に乗り出すニッセンHD。ただ、強化ポイントとするモバイルのアパレル分野は、家具・雑貨以上にライバルが多いだけに、厳しい競争を強いられそうだ。

 同社ではMD強化を目指し、有名デザイナーの手によるコートを販売するなど、ファッション性と低価格を両立した戦略商品の投入を決めた。また、幅広い消費者を取り込むために、対象を絞ったカタログを相次いで発行している。

 ただ、昨年創刊した18~22歳の女性向けのカタログ「ガールズブランチ」の売り上げに関しては「開示する段階ではない」(佐村社長)とするなど、先行きは不透明な部分もある。顧客満足の向上も含めて、アパレルの売上高回復に向けた課題は多い。今期が正念場となりそうだ。(おわり)

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