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JADMAの今年度取り組み、ネット企業の会員化に本腰

2012年 6月 7日 10:42

公益法人移行初年度、消費者保護の対応強化

日本通信販売協会(JADMA=事務局・東京都中央区)は6月1日、定時総会を開催し、新会長に佐々木迅氏(QVCジャパン社長)を選出したのをはじめ、2012年度の事業計画を発表した。今年度は4月から公益社団法人に移行し、新体制での協会運営となる。ネット販売企業を中心に新規会員の獲得を進めるほか、消費者相談対応の強化やサプリメント取り扱い登録制度の更新・充実などに取り組んでいく考え。

総会後の会見で佐々木新会長は、通販市場におけるJADMA会員企業の売り上げの割合が、01年の83・5%から10年には68・4%まで低下していることを指摘。

 「大手が入れば10%くらいこの数字も上がる。賛助会員として入るのか、どういう形がベストになるか議論したい」(佐々木新会長)とし、加入率の低いネット専業の通販企業(プラットフオーム事業者、ネットスーパー、メーカー直販サイトなど)を獲得していくことの必要性を説いた。

 獲得に向けては、セキュリティセミナーや関連法規制情報の提供、ネットに絞った情報交換会の開催、顧客トラブル対応の助言など、加入することで様々なメリットがあることを紹介していく考え。

 「ネットは参入障壁が低いので新規事業者が年々増加しているが『ネットなんでもあり』と言われないように、消費者保護の観点からも組織化していきたい」(佐々木新会長)とした。

 また、全国の消費者センターや地方自治体など関係機関との連携を強化し、公益法人として消費者保護・相談対応のさらなる充実にも取り組んでいく。

 具体的には、協会の消費者相談窓口である「通販110番」を通じて消費者保護を行うほか、地方自治体の消費者啓発セミナーなどへ講師を派遣し通販の適切な利用法の普及に努めていく。

 昨年7月に開始したサプリメント取り扱い登録制度については、12年3月末現在までに194社が登録。正会員509社のうち約半数がサプリメントを取り扱っているため、今後、残りの企業についても登録を促していく考え。

 そのほかの事業計画としては、関連法規制・ウェブ知識習得のための各種セミナー開催や、通販業務知識の普及に向けてeラーニングを活用した施策などを展開していく予定。昨年度に引き続き、協会の認知度向上に向けた広報活動も推進していく。


佐々木会長との一問一答

「"楽天"入会させたい」
任期の2年以内に一定の成果を


6月1日の日本通信販売協会(JADMA)の定時総会で第12代目のJADMA会長に選出されたQVCジャパン社長の佐々木迅氏(=写真)。同日開催された記者会見では今後の意気込みや方針を語った。会見での本紙記者との一問一答は以下の通り。
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本紙:「今後の活動方針」として、JADMAに加入していないネット販売事業者(の会員化)への働きかけ、という点を挙げていたが具体的な方法、目標などはあるのか。

佐々木:「ネット販売事業者の入会促進は強化したい。入会頂く事で『表現』なども含めて、ある一定のルールの中でやって頂くということが(通販市場全体の)信頼を得るという上で重要だと思う。
 (ネット販売事業者の入会を促す上では)大手企業が入会していないというのが非常に大きなインパクトとなっていると考えている。具体的に言うとプラットフォーム事業者で言えば、『楽天』や『ヤフー』『DeNA』などだ。ただ、各モールに出店されているネット事業者は年商1000万円規模など規模としてはさほど大きくないところが多いと聞いているので、どういう形で入会してもらうのがベストなのか。賛助会員での入会なども含めて入会方法はもう少し議論したい。
 具体的な目標に関しては、私の会長の任期は2年なので、それまでの間にそれなりの成果が出るようにしたいと思う。ただ、まだ具体的に動き出しているわけではないので、もう少し時間を頂ければと思う」

本紙:今、名前が出た「楽天」や「ヤフー」はJADMAに現状、入会していない。理由についてはどう認識されているか。

佐々木:「楽天の場合には、自分で協会(新経済連盟)など作られて、自主的に動きたいという意向が非常に強い会社なのだと思う。ただ、通販の部分で言うと『JADMA』という関係省庁にも認められ、来年に設立30年を迎えるきちんとした機関があるわけだ。そこの利点を十分説明することで納得を得られるのではないかと私は思っている」




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