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パルコ  ウェブ接客で潜在客を開拓、「ウェア」も接客ツールに

2014年 2月 6日 09:35

 3-1.jpgパルコは、従来の店頭に加えてウェブ上の接客力を強化し、消費者とのコミュニケーションを深めることでオムニチャネル時代の勝ち残りを目指す。

 同社は経営戦略のキーワードのひとつに「24時間パルコ(=オムニチャネル)」を掲げており、2013年3月に設置したウェブコミュニケーション部を核に顧客接点の拡充を図っている。

 在庫を持たないデベロッパーとして、パルコ19店舗すべてのテナントにオムニチャネルのプラットフォームを提供し、消費者が時間や場所に関係なく実店舗での体験に近いものをウェブ上でも受けられるようにする。

 一環として、昨年はパルコ19店のウェブサイトを改修。テナントショップのブログ記事主体のサイトとしたほか、パルコ各店でSNSを活用した情報発信を強化した。

 従来のハウスカード会員向けの取り組みに加え、各店サイトを利用するウェブメンバー、さらには各店とSNSでつながるライトユーザーにテナントのショップ情報を配信。まずは日常的に利用されるSNS上で顧客接点を作ってパルコのウェブサイトに誘導し、ウェブ接客を経て店舗に来店してもらう流れを作った。

 入り口となるSNSはパルコ各店でツイッターとフェイスブック、LINE@、グーグル+のアカウントを取得したところ、13年2月末時点で約10万人だったSNS会員が12月末には65万人を突破。中でもLINE@が全店で30万人を超えるなど、当初計画よりも大幅に前倒しで会員を獲得しているという。

 ウェブサイトについてはプラットフォームを共通化してブログ記事主体の体裁に刷新。各テナントにアカウントを発行してショップ単位で情報を発信しており、パルコ側は来店促進につながった事例を蓄積し、ショップ店員を対象にしたブログ接客の講習会を11月からスタートしてスキルの底上げを図っている。ブログの投稿数は月間1万件ペースで、閲覧数は同250万PVに上る。

 一方、各ショップの商品をより多く紹介する場として、パルコのECモール「パルコ・シティ」およびテナントが運営する自社通販サイトの商品情報と連携したウェブサイト「パルコ・ショーウインドー」を開設し、パルコ各店のウェブサイトにリンクを貼った。

 「パルコ・ショーウインドー」では新作を優先的に表示するため、来店前の下調べに活用してもらうほか、同サイトからテナントの通販サイトに送客し、商品が売れればパルコに手数料が入る仕組みも設けた。

 12月には、こうした商品データベースを実店舗で活用する取り組みにも着手。渋谷パルコ内にチームラボなどと共同開発した大型の双方向型サイネージ「P―WALL」を設置し、当該店舗に出店するテナントの商品情報を表示することで従来のショーウインドーでは不可能だった複数ショップ約1000点の新着商品との接点を設けた。

 来店客はディスプレーに表示される写真から気になるアイテムを選んで詳細情報を得たり、欲しい商品がどこにあるかも確認できる。気になる写真にタッチすると拡大表示され、同時に画面全体に同じカテゴリーや同じ色の商品がソートされて表示される(=画像)。

 「P―WALL」は1日平均7000回、多いときで1万回、来店客にタッチされており、今後はタッチされたデータを蓄積し、どのショップのどの商品が、どのような時期に注目されたかなどを把握し、テナントにフィードバックする。

 一方、"ショールーミング"を嫌うデベロッパーの反発を受けているスタートトゥデイのスマホアプリ「ウェア」については、テナントとスマホ利用者をつなぐ接客ツールととらえている。パルコでは、スマホ経由で情報を得ようとする顧客が全体の7割を占めており、「『ウェア』を使わなければウェブ接客の幅を狭める」(林直孝WEBコミュニケーション部部長)と判断。渋谷や池袋などのパルコ4店舗で4月末まで実証実験を行う。

 「ウェア」にはショップ店員をフォローする機能があり、パルコのテナントでも1万人以上のフォロワーを抱えるスッタフもいるという。

 パルコは、12月に渋谷と池袋の「ウェア」参加ショップに向けて講習会を実施しているが、接客ツールとして活用しきれていないショップスタッフもいるため、3月にはカリキュラムの開発段階からスタートトゥデイも参加し、「ウェア」を使って接客技術を高める講習を行う予定だ。

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