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「強命水 活」薬事法違反 「検索誘導」違法と判断、広がる〝リンク商法〟に監視の目

2014年 9月 5日 10:53

 年々、複雑化する健康食品の"リンク商法"に対する監視の目が厳しくなっている。長野県警生活環境課と諏訪署は8月19日、医薬品的な効能効果をうたった飲料水「強命水 活」を販売していたとして、エーイーエムの菅原越雄社長ら3人を薬事法違反(未承認医薬品の無許可販売)で逮捕した。「検索誘導」によって効能表示したことをリンクであると明確に判断した、新しい事案といえそうだ。

 逮捕されたのは、菅原容疑者と、同社役員で妻のまさ子容疑者、関連会社役員で長男の健彰(たけあき)容疑者の3人。「強命水 活」について、ネット上で「即効性、痛み、かゆみを瞬時に消す」などと医薬品的な効能効果をうたっていた。民間信用調査期間の調べによると、2013年4月期の売上高は3億8600万円。

 問題視されたのは、その広告手法だ。

 エーイーエムでは、通販サイトで「薬事法を遵守するために」と題し、商品の販売サイトと効能に触れた体験談サイトを直接リンクしたり、体験談を示す資料を商品と同梱発送すると薬事法違反となるため行わないことを説明。薬事法遵守に努めていることを強調する一方、「検索サイトで『諏訪 不思議な水』と検索すると、体験談やモニター情報がご覧になれます」と記載していた。

 検索すると商品名は出てこないものの、「強命水 活」によるものと思われる疾病を含む改善に関する体験談が見られる仕組み。「検索誘導」する形でリンクしていた。

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 商品の広告表示は、リンク先であっても効果を表示すれば健康増進法違反に問われる。これは、通販サイトから健康情報サイトにリンクする場合も、その逆も同じ。各サイトの運営者が違う場合も取締りの対象になる。

 薬事法でも「顧客を誘引する意図が明確」「特定の商品名が明らかにされている」「一般人が認知できる」の3要件を満たせば広告と判断され、医薬品でないのに効果を表示すれば規制対象になる。

 今回、エーイーエムは体験談を掲載したサイトに商品名を記載せず、直接リンクもしていないため、体験談サイトは一見、広告に該当しない。

 ただ、厚生労働省は今年5月、監視指導・麻薬対策課長通知「インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集」の中でサイトのリンクを巧みに使った販売手法に言及。商品の販売サイトとリンク先サイトの運営者が同じ場合など、リンク先の表示も広告とみなす可能性があると説明している。医薬品広告の通知だが、これを未承認医薬品の規制に適用した上で、「検索誘導」を"リンクと同等"と判断したとみられる。

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 似たようなリンク商法は、大手から中小まで幅広く行われている。広く捉えれば、「バイブル商法」もリンクの一つ。最近では今年2月、プロポリスを配合した健食通販を行っていたシャブロンが、薬事法違反で神奈川県警の摘発を受けた。無料の健康情報誌の広告ページでは法令を遵守し、数枚ページを隔てた健康情報ページでプロポリスのガンへの効果をうたっていた。

 事件に発展しないケースでも、似たような販促策は一部で使われている。

 競争が過熱するグルコサミン市場では、サンプル購入者向けにDMでより詳しい「成分・素材情報」を提供する手法がある。「商品名」が書かれておらず、数日ほど期間を空けて届くため「広告」の要件を満たさないが、中には"ひざの痛みに効く"などと書かれているものもある。

 ネットでもアトピーなどに対する乳酸菌の作用をうたうバナー広告から研究成果を示すサイトに誘導。リターゲティング広告で商品の販売ページに誘導する手法もみられる。

 商品とセットでなければ、単なる健康情報を提供すること自体禁じられておらず、「健康情報」か「販促」かの判断は難しい。

 今回も体験談サイトには商品名が記載されておらず、「『諏訪 不思議な水』で検索」を見た顧客が実際、検索誘導されたかは分からないが、県警は摘発に踏み切った。DMを送付する事例も"数日間"の根拠は不明だが、商品とセットと判断されないよう、期間を空けている。ただ、同様の手法が蔓延すれば、いつ行政や警察当局の判断が覆るか分からない。


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