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やずや、シニア市場開拓に本腰

2015年 3月12日 10:11

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やずやがシニア世代を対象に新規事業を始める。シニアマーケットの調査研究を行う「総研事業」と、50代以上の女性向け雑誌を発行する「出版事業」を展開。これら事業を通じ、シニアマーケットの開拓を本格化する。食品や健康食品など"モノ(商品)"の提供で健康への寄与を目指してきたやずやだが、"コト"の提案で新たな市場の創造を目指す。

やずやが捉えるシニア層は、「シニア」と呼ばれることに抵抗感を持ち、元気で行動意欲の高い50~60代の女性。「シニアというと『終活』『介護』『相続』といったテーマを扱うことが多いが、実際はアグレッシブに動かれ、非常に元気。やりたいことを探しており、新事業を通じてそのきっかけを提供していきたい」(矢頭社長)と語り、金銭的、時間的、精神的余裕のあるこれらシニア層に、従来とは異なる方法でアプローチしていく。

 総研事業では、「コトレシピ総研」を発足。健食通販で培った約700万人(登録ベース)の顧客ネットワークを強みにシニア層の調査、シニア向け商品の開発、販売をサポートする。提携先は1業種1社に絞り、シニアマーケットの開拓を視野に入れる30社との提携を目指す。主任研究員にデジタルメディア研究所の橘川幸夫所長を迎え、顧問に元子ども調査研究所の近藤純夫氏、元博報堂生活総合研究所の林光氏を迎えた。若者が捉えた従来の古いシニア像ではなく、シニア層と同じ目線を持つ50代以上のマーケターが捉えた新たなシニア像を確立する。

 出版事業では、13年末に創刊、検証を進めてきたライフスタイル誌「コトレシピ」(=画像㊤)を新装刊(A4変形、通常148ページ、税別850円)。展開を本格化する。編集長に田中敏恵氏を迎え、隔月で年6回発行。全国の主要書店で展開する「通常版」(初回3万部)と、やずやの通販顧客などに送付する「ダイジェスト版」(同20万部)を用意した。複数種類ある通販顧客向け会報誌の一つとしても活用し、定期購読を促していく。3月5日に発売する初回号から、イメージキャラクターに、歌手の森山良子さんを起用した。

 やずやは、13年5月に設立したみらい出版を通じて出版事業に参入していた。当初、50代以上の男女を読者として想定。「ライフスタイル」「カルチャー」「国内旅行」「海外旅行」「ニュース&ピープル」の5分野をテーマに各誌に編集担当者を置き、季刊誌としてセット販売(1冊52ページ前後)してきた。一部を会報誌としても活用。新装刊にあたり、「海外旅行」の担当だった田中敏恵氏を編集長に迎えた。

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会見での一問一答
「健康」の先にチャレンジ

「新しい価値観を提供できる会社でありたい。やずやができるのは(食品を通じて)お客様の健康に貢献することだが、サプリメントでカバーできる領域は限界もある。元気の向こう側にあることにチャレンジしたい。すぐに結果のでるものではなく、10年、20年かけて成熟していく事業だと思う」。矢頭徹社長は、3月4日、都内で行った会見(画像㊦)でこう新事業への意気込みを語った。会見での一問一答は以下の通り。
 「コトレシピ」創刊から今回に至るまで試行錯誤した面は。

 「当初、テーマ別に雑誌を分けたが(多様な趣味嗜好を持つ顧客を、雑誌に合せて)同じ比率で分けることが難しかった。編集も5チームに分けたが取りまとめが大変で分断された情報しか顧客に提供できなかったことがあり、一つに統合した。読者層もニーズの強い女性に絞った。ターゲットとなる年代も50~60代、70代の間に価値観の違いがあり、50~60代に絞った」

 通販事業との関わりは。

 「(通販事業で培ったシニア層の)顧客基盤を持つのが他誌とは違う点。企画に対する反応も世代別に分析できるし、アンケートもできる」

 流通ルート開拓の取り組みは。

 「コンビニなど新たなルートの開拓に努める。通販顧客にDMを送付したところ購読してくれる方もいたので通販ルートも検討しないといけない」

 すでにシニア向け通販やSNS、雑誌等を展開する会社もあるが。

 「あまり意識していない。(シニア向け事業の取り組みの)多くは人生の整理的なテーマを扱うことが多い。シニア世代に前向きなものが少なく、『コトレシピ』では、シニア層をよりポジティブに捉えた」

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