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IROYA 〝色〟が切り口の売場が好評、東急東横店に旗艦店開設

2016年 3月 3日 14:38

042.jpg 色を切り口としたキュレーションコマースを手がけるIROYA(イロヤ)は事業開始から2年が経過し、色でアイテムを提案するというコンセプトが定着してきているようだ。

 同社は毎月ひとつの色に絞って商品を紹介。自社通販サイトと実店舗の「IROZA(イロザ)」で販売している。リアルではこれまでにポップアップストアを10店舗以上展開してきたが、2月25日には東京・渋谷の東急百貨店東横店西館1階に旗艦店を開設するなど注目度が増している。

 同社が事業を始めたのは2014年3月で、ひとつのコンセプトに沿って品ぞろえする提案型店舗の"コンセプトショップ"がまさに出始めた時期だった。運営面の課題などを理由に大手がコンセプトショップの運営から早々に離脱する中、同社は通販サイトと期間限定店の2本柱でコンセプトの定着化を図り、期間限定出店した各商業施設で販売実績を残したことが、百貨店での常設店開設につながったようで、色を切り口に品ぞろえを変える同社の取り組みは「検証段階からアクセルを踏むフェーズに入ってきた」(大野敬太社長)とし、常設店の開設により、商品とマーケティングの両面でデータ活用の精度を高める。

 同社では期間限定店を展開する際、出店する商業施設の他店の品ぞろえやテイストなどを見極めた上で差別化できるのが強みだ。この2年間で取引先ブランドは約500社に拡大しており、出店フロアや区画に雰囲気やテイストを寄せながらも、他店とは異なるブランドを扱い、顧客属性を意識したMDを組む。

 以前は大手セレクトショップでもハイスペックで特徴的な高単価商品などがあったが、いまは多くの店舗が一般受けしやすくスペックダウンした商品を自社で開発する傾向が強く、消費者が望んでいる"選ぶ楽しみ"を十分に提供できていないことも同社にとって追い風となっている。

 取引先ブランドからは販売実績のほか、特定のブランドの世界観が出ないことで、ターゲット層以外の消費者にもリーチできる点を評価されているようだ。

 これまでのポップアップストア展開ではさまざまなMDを検証してきたが、アパレルの比率を抑え、雑貨の構成比を上げると回転率が高くなる傾向があり、昨年11月に約2週間出店した東急東横店でのポップアップでも同様の品ぞろえで成果が出たという。

旗艦店では他店との協業も

 同社ではウェブとリアルを行き来しやすい環境作りにも注力。14年11月に始めた「お店に取り寄せサービス」の利用が着実に増えてきているようで、リアル店舗で実際に商品を確認したいニーズに加え、販売スタッフと会話をしながら商品を購入したい常連客も多いようだ。

 また、提案する色は毎月変わるが、ECでは過去の色もアーカイブのように残るため、店頭で展開している商品の色違いや、過去に店頭で販売したアイテムをECで見つけて店頭に取り寄せる消費者がいる一方、店頭で見た商品の色違いをネットで購入するといった「IROZA」ならではのショールーミングの動きも起きている。

 毎月打ち出す"色"については検索トレンドに加え、ECでは月ごとに売れる色の傾向が異なるため、そうした販売実績などを考慮して決めている。また、これまでポップアップショップで提案する色とECで打ち出す色は別だったが、旗艦店の開設に伴って同じ色を打ち出していくことにしている。

 旗艦店では、「IROZA」で扱うブランドとの連動企画を実施。第一弾では東急東横店にも出店するライフスタイルブランド「オルタナティブ」との共同キャンペーンを実施。2月25日~3月9日の間、両店舗で使える500円引きのクーポンを購入者に配布するなど、店頭での買い回りを促進するほか、通販サイトでもコンテンツ連動企画を展開する。

 今後、常設店では東急百貨店が持つ売れ筋の色のトレンドや商品カテゴリーとの差分を見せていく考えで、「出店するフロア全体に馴染むのではなく、特質化した部分を表現できれば、百貨店内でのクロスセルにもつながるのでは」(大野社長)とする。
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