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「ヤフーショッピング」 "役務"の取り扱い解禁

2016年 6月30日 10:40

ヤフー.png 「レンタルや家事代行、リフォームも"ヤフーショッピング"でどうぞ」。ヤフーは7月中旬から、運営する仮想モール「ヤフーショッピング」で役務サービスの取り扱いを解禁する。

 これまでは物販のみで原則、役務は取扱対象外だった。解禁後、出店者は衣料品やゴルフ用品などのレンタルサービス、家事代行などの訪問サービス、トイレやキッチンなどのリフォーム、エステなどのサービス券などの販売が可能になる。すでに役務展開を行う競合モールは多いが、「ヤフーショッピング」は出店料無料を強みに出店を呼びかけ、外部の仮想モールへは初出店となるグルーポン・ジャパンなど有力事業者も複数、出店する意向。また、すでに物販で出店中の事業者にとっても役務解禁で本商品購入前の"お試し"に商品のレンタルを展開できたり、設置工事付きでエアコンを販売できるようになり、売上拡大にもつながる可能性がありそうだ。

「ヤフーショッピング」は7月中旬からの"役務サービス"の取り扱い開始に伴い、6月28日から出店者(出店希望者)を対象に商材登録受付を開始した。なお、対象となるのは「プロフェッショナル出店」での出店者のみで「ライト出店」で出店する個人事業者や個人は対象外。これまでもクリーニングサービスや印刷サービスのほか、ETCやカーナビの取り付けなど一部の役務サービスを認めていたが、本格展開は初めてとなる。

8-1.jpgのサムネール画像 取り扱いを解禁する役務サービスは着物やウエディングドレス、ゴルフクラブのほか、倉庫スペースや会議室などの「レンタル」のほか、家電の取り付け工事や害虫駆除、家事代行などの「訪問サービス」、ふすまや障子の張り替えやトイレ・キッチンなど住宅設備の工事を伴う販売などの「リフォーム」、レジャー施設やレストランのお試しクーポンやエステティックサロンやペットのワクチン接種などのチケットなどの「サービスクーポン」など。なお、SIMカードやスマートフォン、サーバー、車・バイク、住宅別荘などの取り扱いは不可となる。また、現時点では長期間かつ高額な「特定継続的役務」は対象外としている。

 レンタルは簡単な手続きで実施可能だが、訪問サービスおよびリフォーム、サービスクーポンの取扱希望店舗はヤフー側と個別契約を結ぶ必要がある。これら役務は販売額が高く、特に信頼性や安全性の担保が必須となることから、「必要な免許や許認可の有無、事業内容、取引状況などを確認するなどしっかりと審査する」(同社ショッピングカンパニー・庄司正弘スタートアップ営業部長)とし、物販の出店時よりも慎重に審査するという。なお、出店者のポイント原資負担は物販と同じく2・5%となる。

 競合の仮想モールではすでに役務サービスの取り扱いを始めているところも多いが、「ヤフーショッピング」は出店料を徴収しないモデルであることや、販売ページのカスタマイズの自由度が高いことなどもあり、家事代行のCaSyやグリーの子会社でリフォームEC専業のセカイエ、クーポンサイト運営のグル―ポン・ジャパン、エステティックサロンを運営するTBCグループ、浄水器のレンタルなどを行う三菱レイヨン・クリンスイなど外部の仮想モールへは初出店(役務のみの場合も含む)の有力な役務提供事業者も複数、出店することを明らかにしている。ただ、個別契約締結の必要があるため、7月中旬の解禁時から提供を始めるかどうかは未定。7月中旬の"解禁時"から役務サービスを販売する事業者は新規出店の約45店舗を含む85店舗程度となる見通し。

 役務サービス解禁はすでに物販で「ヤフーショッピング」に出店中の事業者にとっても、売上増につながる可能性もあるよう。例えば、洋服や最新家電、スーツケースについて1週間など期間限定でレンタルサービスを行い、本購入を促すきっかけ作りとしても活用したり、これまでできなかったタイヤやカーパーツなどの車用品やエアコンやテレビなどの販売時に取り付けや設置のための作業サービスを付けて販売することも可能になるようだ。

 「ヤフーショッピング」は役務サービスの取扱開始後、「ヤフーショッピング」のトップページ上の商品カテゴリの「レンタル、各種サービス」という新設カテゴリを設置したり、ヤフーの検索サービス経由で集客を図る考え。

 ヤフーでは役務サービスの取扱解禁で「ヤフーショッピング」の流通総額の拡大を狙う。「これまではECの中でもまず物販系分野を優先して強化してきたが、EC市場全体に占めるサービス(役務)分野も物販に次に大きな有望市場であり、ここを伸ばしていきたい」(庄司部長)とし、出店料を徴収しないビジネスモデルで有力役務提供事業者などを取り込み、流通総額拡大を図っていく考え。

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