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アマゾンジャパン "ロボット棚"導入で効果、出荷作業の効率アップ

2016年12月 8日 09:46

 2-1.jpg「人が棚に商品を取りに行くのではなく、棚が人のところまで持ってくる?」──。アマゾンジャパンは12月6日、今夏から稼働を開始した同社の新たな物流拠点で最新の"物流ロボ"を導入した「アマゾン川崎フルフィルメントセンター(FC)」を初めて公開した。

 川崎FCはすでに米アマゾンなどで導入されている注文データに応じてピッキング担当者のもとまでロボット付き商品棚が自ら動き、従来よりも効率的なピッキングが可能になる可動式商品棚「アマゾンロボティクス」(=画像)を日本で初導入した拠点で実数などは明らかにしていないが「従来の拠点でよりも少ない人数で仕事をこなしており(ピッキング効率は)相当よい」(同社)と出荷作業の効率化やそれに伴うコスト削減で一定の効果を上げている模様。今後も他の物流拠点へも"ロボ"の導入を検討しているようだ。

 今年8月に稼働を始めた川崎FC(所在地・川崎市高津区北見方3‐14‐1、総床面積・約4万平方メートル)に導入した「アマゾンロボティクス」は"ポット"と呼ばれる約2メートル30センチ程度の四方商品棚とその棚を下から支えて(約340キログラムまで積載可能)、秒速約1・7メートルの速度で動かす"ドライブ"と呼ばれるオレンジ色の機械からなる可動式商品棚で、米アマゾンが2012年に物流ロボットの開発会社を買収、その後、物流拠点に順次導入を始めた「キバ・ロボット」をベースとしたもの。なお、日本では川崎FCが初導入となるが、米国や欧州のアマゾンでは導入が進んでおり、現在までに19の物流拠点で運用されているという。

 「アマゾンロボティクス」の利点は従来の物流センターでは一般的なピッキングの流れ、つまり、注文データに応じて、担当者が当該商品が在庫されている固定の棚からピッキングする形ではなく、必要な商品を在庫した"棚"が自ら動き、ピッキング担当者は基本的には定位置から動かず、棚出しでき、ピッキングの作業効率を大きく高められる点だ。

 川崎FCでは3階にある「AR(※「アマゾンロボティクス」の略)フロア」と呼ばれるスペースに複数台(台数は非公開)の"ロボ"を導入し、床にある専用のバーコードで自らの位置情報を把握しながら24時間、縦横無尽に動き回っている。「ARフロア」は"ロボ"が稼働するエリアを中心としてその周辺に「ステーション」と呼ばれるスペースをいくつか点在させ、作業員がそこに集まってくる"ロボ"に倉庫に入荷した商品の"棚入れ"と顧客から受注した注文データをピッキングする"棚出し"を行っている。

 棚入れはベルトコンベアで搬送されてきた荷受けした商品を"ロボット棚"に在庫する作業で、作業員が在庫する商品のデータをバーコードで読み取ることで当該商品の大きさや数などから、収納すべき"ポット"をシステムが判別して、自動的に最適な"ロボ"が作業員の下に来て、かつ商品のサイズなどから判断し、「この商品を入れる棚はこの場所がよい」という指示をモニター画面上で示す。作業員はそれらを参考にしながら棚の中に商品を収納し、データを紐付ける流れだ。

 なお、"ロボ"に在庫可能な商品サイズは「最大でみかん箱サイズくらいまで」(川崎FCセンター長の吉田憲司氏)。ただ、川崎FCは大型商品を扱う拠点ではないため、基本的に同拠点で扱う商品はすべて在庫できるという。

 棚出しは顧客からの受注データに応じて自動的に注文商品が在庫された棚の中から最も早く作業員が待つ「ステーション」に行くことができる"ロボ"が最も効率的なルートでやってくる。この"ロボ"の棚に在庫されているピッキングすべき商品の収納場所、数、商品写真などがモニター画面上に表示され、作業員はそれにしたがって、ピッキングし、専用の容器に入れ、作業を終えると商品を梱包するエリアへベルトコンベアで自動的に搬送される形だ。

 「当社の一般FCでは固定の棚に在庫が収められ、注文が入ると人が取りにいくという作業を行う形になるが、川崎FCでは"AR"を導入することで人が棚に取りにいく代わりに棚が自分で来てくれ、出荷までの処理時間の短縮や効率化につながっている」(吉田氏)とし、具体的な効果の指標などは明らかにしていないが"ロボ"の導入で「数字はお話できないが、(ピッキングなどの作業の効率は従来FCに比べ)相当、よくなっている。このFCの作業量を通常FCでこなそうとした場合にはもっと人が必要になるがある程度の人員でできていることを考えれば」(吉田氏)とする。

 日本においても一定の成果を見せた「アマゾンロボティクス」。「詳しくは決まっていないが、もちろん成長を続けている会社なので(これからも"ロボ"の導入は)考えている」(吉田氏)とし、同社では今後も「アマゾンロボティクス」を他の物流拠点にも導入していきたい考えのようだ。


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