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健食の要望書めぐり 国民新党が激怒、「業界の熱心な態度見られない」

2010年 7月 1日 19:26

 健康食品の表示制度確立に向け、日本健康・栄養食品協会傘下の8団体で組織する健康産業協議会(協議会)と意見調整を進めてきた国民新党は6月18日、消費者庁と厚生労働省に要望書を提出した。だが要望書は、宛名などの記載がない不可解なもの。二者間の調整がつかず、もの別れに終わった結果、受け取った行政サイドも「どう処理したらいいのか」(厚労省監視指導・麻薬対策課)と首をかしげるお粗末な代物だ。当初、「医療政策の一環として公約に準ずる政策集に盛込む」(森田高議員)としていた党の方針も大きく後退することになった。
 
 今回、二省庁に提出した要望書は、(1)特定保健用食品(トクホ)や健食のランクに応じた表示制度の確立、(2)規格基準型トクホの要件緩和や栄養機能食品の対象拡大、(3)国費負担による制度確立等を求めたもの。

 だが一見して正式な要望書でないことが明らかだ。要望書には日付や宛名、提出者の記載がなく、協議会を主導して国民新党と意見調整した健食業界団体の一つ、アイファンの印鑑も押されていない。

 当初、局長クラスに提出するとみられていた提出先も、消費者庁食品表示課と厚労省監視指導・麻薬対策課(監麻課)と担当課止まり。提出者も同党が「仲介しただけ」とすれば、アイファンは「要請を受けて業界の課題を示しただけ」と、判然としない。その結果、不可解な要望書提出と相成ったわけだ。

 アイファンは、「特定の政党を応援できない。協議会にも連携して行動できないと言われ、個別団体の要望では意味がなかった」とコメント。参院選に国民新党から出馬するアイファン加盟会員がいたことから盛り上がりを見せた業界サイドだが、トーンダウンは明らかだ。背景には、自民党の山東昭子議員が日健栄協の名誉会長に就任していることも関係しているよう。

 だが、一連の政治的アプローチは、国民新党の怒りを買う事態に発展している。

 同党は「通常、党の方針として提出するのであれば印鑑を押し、所管の大臣に提出する。選挙準備に忙しい最中だが、アイファンの熱心な態度が見られなかった」とご立腹のようす。参院選を目前に控え煩雑な対応に追われる中、関係省庁の局長を呼びつけてまで意見調整をお膳立てしたことを思えば、怒りを買うのは無理からぬことでもある。

 監麻課では「宛名のない要望書は珍しい。ただ、要望は消費者庁関連のもの」として具体的な対応はしない様子。消費者庁食品表示課は「要望書の中身は検討したい」とコメントしている。

 安易に政治的アプローチに頼った業界団体のずさんな対応は、何の結果ももたらさないだけでなく、まとまりのない健食業界の姿を露呈させ、政治サイドの怒りを買うだけに終わった。
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