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JSCの篠原社長に聞く──2009年の振り返りと今期の戦略は?

2010年 7月15日 10:37

 2-1.jpg不景気の影響で各社が業績不振に喘ぐ中、ジュピターショップチャンネル(JSC)は順調に業績を伸ばし、2010年3月期は増収増益を達成(前号2面の同社決算記事参照)。今期に入ってからも、これまで前年同月を上回るペースで売上高を伸ばしているようだ。不況下においても業績を拡大させるJSCの戦略とはどういったものなのか。同社の篠原淳史社長に前期の総括と今期の戦略などについて聞いた。 (聞き手は本紙編集長・鹿野利幸)





──09年度(2010年3月期)は前年同期比(※08年度は15ヶ月変則決算のため、08年4月~09年3月との比較)で増収増益だった。業績を伸ばせたポイントは何か。
 
 「前期は番組力と商品力を意識して強化してきた。『見て頂ける番組』をきっちりと作りこむ。そのためには当然、番組に見合う『良い商品』が必要になる。番組力と商品力をパッケージと捉えて、両方をしっかりできたことが大きかったと思う。
 また、不況で小売市場全体が厳しい中、大手の化粧品やアパレルメーカーさんなどを中心に既存販路以外に新たな販路や手法を模索されている中、我々のテレビ通販というチャネルを活用頂くケースも昨夏あたりから非常に増えてきた。知名度や訴求力の高い有力メーカーの商品を販売したり、それに伴う新しい番組ができてきた。これらも番組力や商品力の強化につながった部分だと思う」
 
──客単価は。
 
 「現在の市況では客単価はさすがにしんどかった。番組力や商品力の強化で新規顧客獲得での客数アップと既存顧客の購買頻度を高めて、業績を上げていったということだ。そうなると注文数が増え、変動費はあがるが、商品については安易な価格訴求に走らず、バリューを追求した。そうしたことなどで一定の粗利を確保でき、経費効率の悪化をカバーして、わずかだが増収と増益の両方を達成できた」
 
──具体的に業績面で効果を上げた番組や商品とは。
 
 「番組で言うと、昨夏に開始した2つの看板番組が大きい。1つは"アラフォー"をターゲットにした『ヴィーナスナビ』と当社のプライベートブランドを軸に紹介する『ショップチャンネルシグネチャー』だ。この2番組はコア顧客層に向けて相当な準備をして立ち上げた番組で期待していたが、きちんと定着したのかなと思っている。それから深夜帯の番組も状況を見ながら模様替えをして一定の成果が出てきている。今年2月から開始した『ももえり流!可愛くハッピーライフ』や『渡辺美奈代のセレブレッスン』などだ。若い世代を中心に深夜帯の視聴者を増やせているなどの効果が出てきている。
 また、先ほど申したように新たにテレビショッピングでやってみようという大手の化粧品やアパレルメーカーの商品や、楽天さんなど様々なパートナー企業さんとの番組などが全体としての商品力、バリュー感を高めたのではないかと思う」
 
──前期はネット販売のほか、カタログの展開なども始めた。テレビ以外のチャネルの状況は。
 
 「ネットでは08年4月から『ミラベラ』という海外ブランド品の通販サイトを始めたのだが、好調に推移している。ネット販売はもちろんだが、昨年9月から『ファッションサイトミラベラ』という名称の番組を始め、そうしたブランドがテレビにも参加して頂けるようになった。ブランドさんが我々の番組での表現について安心頂き、テレビ通販についても参加して頂けるという流れができつつある。これは番組力や商品力の強化という点からも大きなことだ。非常に期待している。
 カタログは昨年1月からファッション系とノンファッション系のカタログを半期に1回、発行している。なるべくカタログ限定商品で構成し、それをテレビでも紹介している。テレビからカタログへ、その逆とサイクルができつつあり、カタログで安定的な売り上げを稼げるようになってきた。カタログ用の商品開発を進め、ページ数も増やしていきたい」

──今期もすでに第1四半期(4~6月)が終了したが、業績はどうか。
 
 「今期も増収増益を目標に進めているが、予定通りだ。4、5、6月と前年同月はきちっとクリアできている。基本的な戦略は前期と同様、番組力、商品力の強化だ。今期は前期に立ち上げた様々な番組や取り組みを定着、定番化させていく。また、新しい試みとしては今年5月に熊本県民テレビ(KKT)と組んで『日本を見つけよう~九州~』と題し、熊本県産品を紹介する生中継番組を放送した。KKTさんに機材やスタッフを含めて中継では協力頂き、またKKTでも同日、サイマル生放送をしてもらった。地上波とのコラボは今回が初の試みだが当日の売り上げに関しても一定の反響があり、非常に可能性を感じた。他の局でも同様の試みをしていきたい。常にアンテナを張って、新しいことにもチャレンジしていく」
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