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【ポンパレモールの現状と今後 リクルートライフスタイル㊤】 基本出店料無料に切換え、ポイント利用先の価値を追求

2020年 1月 2日 13:30

 キャッシュレス化の波が大きく進む中、大手仮想モールでも「ポイント」を起点としたサービス合戦が激しさを増している。リクルートライフスタイルが運営する仮想モールの「ポンパレモール」では、開設当初より会員向けのポイント利用先としての立ち位置にこだわり続けていた。現在の市場動向や今後の戦略について、2019年7月に現職に就任した同モールの常泉仁志プロデューサー(写真)に話を聞いた。 


 ――19年の販売トレンドを振り返って。

 「前年とあまり変化はなく、水やコンタクトレンズ、米など日常消費財の利用が多かった。あとは、酒類であったり、おつまみ類、食品がメインの売れ筋。この辺りはリピート率も高い。

 増税前の駆け込みで、単価が少し一時的に上がっていた。特に9月は高く、前年同月の1・5倍程度。日常消費財を買いだめする複数購入の動きが見られた。そのほか増税関連では、レジの入れ替え需要が非常に高く、当社は(POSレジアプリの)「Airレジ」を行っているので、toCと言うよりはtoBの顧客にiPadやプリンターといったレジ関連の周辺機器が非常に多く売れた。中小企業庁の軽減税率対策でレジに関して国の補助金で負担してくれていることも影響した」


 ――ポンパレモールならではの特需品とも感じられるが。

 「提携先であるレシートプリンター企業がポンパレモールに出店する形で『Airレジ スターターパック』(価格は6万円程度~)を販売している。実店舗運営の中小企業などに多く購入してもらえた。他のモールとは違った動きと言えるだろう。

 レシートプリンターの需要に関しては18年もあったが、経済産業省の『キャッシュレス・消費者還元事業』でさらに加速した。キャッシュレス対応のためのカードやQRコードの決済の機材を入れるに当たってレシートプリンターは必要なので、その点は追い風になった。いずれにしても8、9月は全体の売り上げに対するシェアが高かった」


 ――運営での変更点は。

 「19年で一番大きかったのが、今まで月額でいただいていた基本出店料を、7月1日から無料化したこと。一部、画像の容量といったオプション料金は残るが、基本的には従量型に変更している。出店者自身の集客コストの負担を今まで以上に軽減することが目的で、他の競合モールも従量型に変わっている面があるので、当社としてもそこは舵を切り替えていく形で実施した」

 ――出店者の反応は。

 「おおむね好評で、既存出店者についても良好。(出店希望の)問い合わせも増えており、まだ始まって数カ月だが、審査をしているところなので、これから徐々に増えていくだろう」

 ――料金体系変更で、出店者の集客コストのかけ方に変化などは。

 「おかげさまで(モール内の)広告部分に関しては微増している。基本出店料を無料化するということは、当社としてもビジネスを行う上でモデルを変えていかなくてはいけないことになる。今後は広告の部分でテコ入れをしていくため、広告メニューを増やすことも検討している」

 ――そのほかには。

 「出店者に喜ばれた取り組みとして、カードを持っていなくても提示するだけでローソンさんなどの参画店舗で使える『Ponta』の公式アプリに、9月の中旬ごろから当社のサービスとしては初めてポンパレモールへの導線を張った。ポンパレモールは『Pontaポイント』を利用するための価値を最大化しようとしているので、ポイントを使いながらも、ネットのサービスを使わずにリアルの店舗だけを使っているような顧客も集客するという狙い」

 ――具体的には。

 「アプリの中で、今まではクーポンのタブについてリアル店舗への導線しか無かったが、ここにネットサービスとしては初めてポンパレモールのタブを取り入れた。私がリクルートグループでポイント活用を行うIT戦略部も兼務している関係で、こうしたことができないかという提案をロイヤリティマーケティングさんに行ってみた。やっていることは非常にシンプルだが、徐々に導線も改良したり、配るクーポンも変えていったことで、その後かなり顧客が流れてきている実感値がある。確実に顧客はきているが、ポンパレモールが何を行っているサービスなのかということの認知にはまだまだ課題がある。購入というところはこれからだと捉えているので、引き続き、注力して回していきたい」(つづく)


 
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