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アスクル 社外取締役に後藤玄利氏ら選定、指名報酬委員会の権限強化も

2020年 2月13日 13:40

 アスクルは2月5日、ケンコーコム(16年に楽天が買収し、その吸収合併)の創業者の後藤玄利氏ら4人の新たに選定した独立社外取締役候補について3月13日開催の臨時株主総会で選任決議を行うと発表した。

 同社は上場会社としての独立性などを担保すべく、役員人事などを決定する際、独立社外取締役を中心とした指名・報酬委員会に諮った上で、人事案などを答申し、取締役会で決議した上で株主総会で決定するという意思決定プロセスを踏んできたが、同社が運営する通販サイト「ロハコ」の事業方針などを巡って筆頭株主であるヤフー(現・Zホールディングス)と昨年7月に対立が表面化して以降、ヤフー側はアスクルの創業者の岩田彰一郎氏の社長辞任を、アスクルは資本提携の解消などを求めて互いを非難する発表を繰り返すなど関係性が悪化。昨年8月2日開催の株主総会でヤフーおよび同調していた第2位株主のプラスらが当時の独立社外取締役3人全員について再任案を否決したため、独立社外取締役が不在となり、それゆえ、指名・報酬委員会を組成できずにいた。

 そのため、まず指名・報酬委員会の中核メンバーとなる独立社外取締役を決めるべく、アスクル側で同社や大株主とも利害関係がない弁護士の國廣正氏と落合誠一氏と新たに顧問契約を結んで、両氏を中心に、アスクルの独立社外監査役の安本隆晴氏、吉岡晃社長をメンバーとする暫定の指名・報酬委員会を設置。「アスクルの企業価値向上のために最適な判断ができること」や「アスクルの執行部からの独立性のみならず、ヤフー、プラスからの独立性が確保されていること」などを条件に独立社外取締役の人選を進めていた。

 2月6日に記者会見を開催した暫定指名・報酬委員会の委員長を務める國廣氏(写真=左、右は落合氏)によると、独立社外取締役の選定には第1回暫定指名・報酬委員会を開催した昨年9月16日から2月5日までに合計21回の委員会を重ねて、慎重に行ったという。まず約30人の候補者をリストアップ後、同委員会で指名基準や多様性に配慮しながら絞り込み、その後に面談の打診を行い、「”火中の栗”と断られたり、尻ごみする方もいたり色々あったが、面談を了承頂いた方とアスクルの企業価値を向上させるにはどうすればよいか、ガバナンスはこれからどうあるべきか、大株主とはどのような関係であるべきかなど意見交換を行い、我々と意思が一致した候補者を選定できた」とし、日用品ECなどを手掛けていたケンコーコム(現・楽天)の創業者の後藤玄利氏やIHIの副社長を務めた塚原一男氏、弁護士の市毛由美子氏、企業倫理・コンプライアンス専門の麗澤大学国際経済学部教授で内閣府消費者委員会委員長の髙巖氏の4人を新たな社外取締役に指名、答申し、2月5日の取締役会で同4人を社外取締役の候補者として臨時株主総会の議案にすることを決議した。

 なお、東証を示すコーポレートガバナンスコー・コードで取締役メンバーに占める社外取締役は3分の1以上が望ましいとされていることなどを踏まえ、独立社外取締役を従来の3人から4人(アスクルの取締役の定員は10人)とした。

 同委員会では社外取締役の人選のほか、今回の騒動を踏まえ、「”災い転じて福となす”の精神で、我々は『アスクルモデル』と呼んでいるが、先進的なガバナンスモデルを作っていきたい」(國廣氏)とし、独立社外取締役の行動を保護し、その役目を果たしうるよう新たに発足する指名・報酬委員会の規定を大幅に改正し、取締役会に勧告を行ったり、取締役会に対して行った答申を「尊重する」という文言を明文化したり、対外的に意見表明ができるようにし同委員会の権限を強めたり、独立役員の立場を守りつつ、経営陣との癒着などを防止するために、任期を1年ではなく2年に、また、在任期間を例えば8年にするなど上限の規定などの提言も行った。なお、独立社外取締役の決定や指名・報酬委員会の組成は3月13日の臨時株主総会での決議後に正式決定する。

 「昨年のヤフーとアスクルの対立があそこまで行ってしまった原因は対話不足にある」(同)とし、機能を強化した独立社外取締役および指名・報酬委員を中心に執行側や株主側と徹底した議論を行え、コミュニケーションを円滑化することで、「再度の対立」を防止するとともに透明性のあるガバナンス体制の構築を実施していきたい考えだ。

 
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