しまむらの中期経営計画 3年後にEC売上110億円、通販サイトの一本化や品ぞろえ強化など軸に
2024年 4月11日 12:00
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同社は、20年10月に自社通販サイト「しまむらオンラインストア」を開設してEC事業を本格化させているが、ECチャネルへの投資を強めているアパレル業界においては後発組だ。
自社ECのオープンに先立って、既存の東松山商品センター(埼玉)の敷地内にEC用の物流センターを開設。基幹事業である「ファッションセンターしまむら」の実店舗向け物流網を活用し、送料無料となる店舗受け取りサービスを軸にしたEC運営を行っている。
前期までの3カ年計画では当初、EC売上高120億円を計画していたものの、物流センターのフル稼働の遅れや、外部ECモールを活用せずに自社ECでの利益率向上を優先したため、売り上げ目標を50億円に下方修正していた。一方、自社ECでの店舗受け取りの利用が9割程度で推移するなど、実店舗の売り上げ向上に貢献した。
今期からスタートした新中計「ネクスト・チャレンジ」では、EC事業の拡大を成長戦略のひとつとして、品ぞろえの強化や事業別ECの一本化、OMO戦略の推進などに取り組む。
商品戦略については、インフルエンサーとのタイアップやキャラクター商品といったEC限定アイテムの開発を強化するほか、実店舗では面積の関係で展開できない雛人形などの大型商品やイレギュラーサイズのアパレルの取り扱いなど、店舗の品ぞろえを補完する機能を強める方針という。
また、同社が展開する5事業のうち、しまむらとバースデイ、アベイル、シャンブルは事業別に通販サイトを運営しているが、残りのディバロ事業についても来期中にEC展開を始めるほか、しまむらグループとして通販サイトを一本化する計画で、同一カートで複数事業の商品を購入できるようにする。
OMO戦略では、会員情報の一元管理によって実店舗とECの相互利用を促進。性別、年齢、購買履歴などのデータを、レコメンドなどの販促に活用する方針だ。
物流面では、東松山のセンターに加えて、天理ECセンター(奈良)の新設準備を進めるほか、サプライヤーがECセンターを介さずに直接、商品をセンターに納品する仕組みを拡大し、ECセンターのキャパシティ問題を軽減する。
また、顧客の利便性向上などを目的に、店舗在庫の引き当てシステムを構築するほか、ECでしまむらの商品を注文してアベイルの店舗で支払いができるなど、事業を横断した店舗支払いにも取り組む考え。
一方で海外市場については、昨年12月中旬にジグザグの越境ECサービスを導入して海外の消費者がしまむらの商品をEC購入できるようにした。まずは越境ECのノウハウを習得するとともに、商品動向などを把握。海外でのEC出店や実店舗出店に向けた調査を行い、将来的な出店につなげていく。