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有力各社次の一手は?ニッセンHD―㊦ カギはスマホと店舗、出店ペース加速も

2011年 2月10日 10:21

ニッセンホールディングスの今後の業績を占う上で重要となってきそうなのが、「スマートフォン」と「実店舗」だ。

 ニッセンの2010年12月期インターネット経由の売上高は、前期比6%増の約647億円で、売上シェアは51・8%に達した。このうち、スマートフォンを含むモバイル経由の売上高は、前期比12%増の約188億円。パソコン経由以上の伸びを示しており、11年12月期も16%増の約218億円を見込んでいる。

 中でも成長が期待できるのはスマートフォン関連だ。前期のスマートフォン経由の売上高は約2億円とまだまだ小さいものの、11年12月期の売上高はモバイル売上高のうち10%、12年12月期は同じく30%と急速な伸びを予測している。2月半ばにもスマートフォン対応の第1弾サービス、上期中にも第2弾サービスを投入し、さらに使い勝手をよくしていく。

 ニッセンの佐村信哉社長は「従来の携帯電話経由の売り上げがスマートフォン経由の売り上げに置き換わっていけば、平均単価も上がり、売上高が増え収益性も高まるだろう」と話す。電話からの受注単価を10とすれば、パソコン経由は8で携帯電話経由は6。これに対し、スマートフォン経由は「パソコンと携帯電話の中間となる7くらい」(佐村社長)という。受注単価が低迷傾向にある中、スマートフォンの普及が単価を押し上げる起爆剤となりそうだ。

 実店舗に関しては、大きめサイズの衣料品を販売する「スマイルランド」を多店化する方針。現在、兵庫県尼崎市と宮城県仙台市に開設しているが、昨年10月から黒字化している。

 「今のままでも利益の出る店舗を全国に12店は出せるが、iPadを活用して店舗で販売していない商品をネットで検索できるようにするなど、効率を1・5倍に上げることができれば、20数店舗は出店可能だ」(同)。また、店舗周辺に在住する顧客一人当たりの売り上げは、カタログ経由からも上がっていることから、さらに出店ペースを加速できる可能性もあるという。

 今期は4~5店をテスト的に出店。iPadなどを使った効率的な仕組みが整えば、通常の衣料品や家具・インテリアなどを販売する店舗の開設も視野に入れる。

 前期は過去最高の稼働客数と新規顧客獲得数を記録したニッセン。佐村社長は「香里奈さんを起用したテレビCMでブランドイメージが向上し、新規顧客獲得にも大きく貢献している」と胸を張る。ただ、若年層の取り込みを意識するあまり、中高年層へのアピールがおろそかになっている点は否めない。

 同社でもシニア層向けの「ここいろ気分」を創刊したり、男性向け衣料品を増やしたりするなど、弱点を補強するための施策を進めているが、競合他社からは「香里奈さんのテレビCMイメージが強すぎるため、若い女性以外の離反を招く可能性もあるのでは」(総合通販企業の幹部)との指摘もある。

 「ニッセン=香里奈」のイメージ戦略は諸刃の剣となる可能性もあるわけだ。同社の目論み通りに、幅広い年代からの新規顧客獲得に成功するか。まずはお手並み拝見といきたい。

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