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消費者庁、トクホの広告ガイド示す、健食の表示規制にも影響か

2011年 7月10日 21:41

消費者庁が特定保健用食品(トクホ)の表示に関するガイドラインを発表した。消費者庁が健康増進法(健増法)の解釈を示すのは初めて。ガイドラインは、テレビCMなどでグラフや体験談を使う際、虚偽・誇大表示の恐れがある表示について具体例を示すなど、かなり踏み込んだ内容となっている。消費者庁では今回のガイドラインについて「健康食品に適用するものではない」(食品表示課)としているが、健増法の解釈を示すものであり、今後、テレビCMや新聞の考査に影響を及ぼすことになる可能性も捨てきれない。

 「特定保健用食品の表示に関するQ&A」と題されたガイドラインは、トクホの定義に始まり、表示規制に対する考え方や対象となる表示物を説明する内容。虚偽・誇大表示の恐れがある表示については、許可の範囲を逸脱した強調表示や、恣意的な試験データ等の操作により誤認を与えかねない表示を例示している。

 特に、試験結果やグラフを使用する場合やアンケートやモニター調査の結果として個人の体験談を使う場合の留意点にまで踏み込んで説明しており、試験結果やグラフを使う場合は、「極端なグラフのトリミング(スケール調整等)や作為的なデータ抽出を行ったもの」や「十分に試験全体の説明が行えないような短時間のテレビコマーシャル等の広告における試験結果やグラフの使用」などを虚偽・誇大表示の恐れがあるとしている。

 また、個人の体験談も「特定の疾病を示し、予防・治癒効果があるかのような内容を記載したもの」や「医療関係者、大学教授など権威のある者による感想文や推薦文で効果を保証するような内容を記載したもの」などが虚偽・誇大表意の恐れがあるとしている。

 ただ、このガイドライン自体、健増法の範疇で法解釈を示したものに過ぎない。テレビや新聞の考査への影響も「考査が厳しくなるというより、逆に参考にできるものが増えていいという印象。『体験談』が免罪符とならないのは今に始まったことではない」(テレビ関係者)、「トクホの表示ルールは以前から決まっており、これに配慮した形でCMは制作され、考査が行われている」(広告代理店)といった反応が多くを占める。

 消費者庁としても「事前にテレビや新聞考査の関係者には説明している」(食品表示課)としており、ガイドラインが拡大解釈される恐れは少なそう。ただ、今後懸念されるのは、このガイドラインが健食の表示規制に影響を及ぼしかねないことだ。

 消費者庁では「そのまま適用するわけではないが健増法の解釈を示したものであり、今後、健食(に対する健増法の運用)にも影響する」(同)としており、その可能性を排除していない。トクホだけでなく、健食の表示規制にも影響することになれば、テレビや新聞の考査担当者、さらには事業者にとってもガイドラインが示す意味はより重いものとなる。

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