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三越伊勢丹、食品宅配事業を強化――売上高100億円目指す

2011年 8月25日 11:17

 三越伊勢丹通信販売は、中長期的な成長へのエンジンとして食品宅配事業を強化する。今年10月下旬から取り扱い商品を従来の1・5倍に、配送エリアも一部地域を除く関東全域に広げて新サービスをスタートする。ネットや電話からの受注体制を整備し、宅配用の配送センターを都内に設置するなどインフラ面の強化にも着手。共働きの家庭などを主要ターゲットに初年度は会員数2万人、売上高27億円、将来的には100億円を目標とする。

 同社は今秋から、毎日利用してもらえる会員制の食品宅配サービスを目指して「三越伊勢丹エムアイデリ」を開始する。

 これまで、大地を守る会と提携して宅配サービス「三越くらしの御用達便」を展開し、売り上げを伸ばしてきたが、共働き夫婦の増加や少子高齢化の進展などから「顧客の日々の食生活を豊かにできる宅配事業は"のびしろ"が大きい」(勝田潤一社長)と判断。百貨店の信用力をベースにサービスの幅を広げ、利便性を高めることで事業拡大につなげる。

 取り扱い商品については、ボリュームの大きい大地を守る会の有機野菜に加えて、デイリー品を中心に独自仕入れ品を約10倍に拡大。商材全体でも従来の約800点から1200点に広げる。

 具体的には、三越や伊勢丹のデパ地下で人気の総菜やスイーツを毎週70点以上紹介。三越で展開する全国の老舗銘菓「果遊庵」や名産品「味匠庵」の商品を三越日本橋本店から届ける「デパ地下便」もスタートする。

 生鮮品やグローサリーはグループ企業が運営する食品スーパー「クイーンズ伊勢丹」とも連携して、こだわりのデイリー品を提案。競合との差別化を図る。

 配送面では、従来の1都4県から関東全域(一部地域除く)に広げ、午後3時までの注文で翌日の指定時間帯に手渡しで届ける。

 配送時間は午後2時~同4時、4時~6時、6時~8時、8時~9時の4時間帯で、配送用の専用箱や保冷剤はその場で回収するという。

 一方のオーダー面では、これまでは商品を届ける際に次回の注文を受けるのがメーンだったが、新サービスでは電話注文を午前10時~午後7時まで対応するのに加え、ファックスやウェブサイト、モバイルサイトでも24時間受け付ける。

 ウェブサイトでは、レシピからの簡単な購入やおいしい食べ方、感想を投稿できるレビューなど会員向けのコンテンツを用意する。

 三越伊勢丹通信販売は新サービスの導入に伴い、従来の大地を守る会の運営スキームに変えて新たに東京・葛西地区に配送センターを設け、消費者への宅配も郵便事業会社の「ゆうパック」に変更する。

 宅配事業の売上高は、2011年3月期が15億円弱だが、これを初年度でほぼ倍増の27億円を目指す。

 また、新客獲得に力を入れ、さまざまな媒体で訴求するほか、百貨店が持つ友の会会員にもアプローチして初年度に2万人を確保したい意向だ。

 なお、「エムアイデリ」は入会・年会費は無料で、月額利用料315円が必要。送料は315円(一部地域630円)、1回の購入金額が7350円以上で送料無料。会員には、定番のデイリー品のほか、旬の食品などを紹介するカタログを毎週届ける。
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