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三越伊勢丹通信販売のネットスーパー  百貨店顧客と接点拡大へ

2012年 1月18日 15:24

 3-1.jpg三越伊勢丹通信販売は、中長期的な成長へのエンジンとして食品宅配事業の強化に乗り出している。

 昨年10月22日、大地を守る会と組んで展開してきた食品宅配サービスを拡大し、「三越伊勢丹エムアイデリ」としてネットスーパー市場に参入。日常的に良質な商品や生活を求める消費者に対し、百貨店を核としたグループ全体で接点を増やす。

 そのため、百貨店で扱う人気の惣菜や、三越日本橋本店から全国の老舗銘菓などを届ける「デパ地下便」もスタート。生鮮食品やグローサリーはグループ企業が運営する食品スーパーとも連携し、品ぞろえは従来の1・5倍の1200品目に増やした。

 通販商材についても、缶詰などカタログではセット売りが基本のアイテムも1個単位で販売する。

 また、ネット完結型ではなく、毎週、専用のカタログを発刊して電話で注文を受けることで、比較的に年齢の高い顧客層にも配慮した。

 配送エリアは一部地域を除く関東全域に広げ、午後3時までの注文で翌日の指定時間帯に手渡しで届ける。

 従来型の食品宅配からネットスーパーへの切り替えに当たり、東京・葛西地区に新たな配送センターを設けて配送業者も変えたのに加え、これまでは大地を守る会が主体だったカタログ制作も、すべて三越伊勢丹通信販売が編集する体制に移行している。

 今回、同社グループは首都圏で初めて「三越伊勢丹」ブランドを使用。顧客はネットスーパーの業態であっても「百貨店」のサービスと受けとめており、求められる水準は高い。そのためにも注文時に顧客の生の声が聞けるコールセンターは大事で、ネットスーパー専用の席数をこれまでの3倍に増やして対応している。

 現状、旧サービスの会員が引き続き主要顧客で、買い物弱者など新規会員も想定を約3割上回って推移しているものの、定期配送を望んでいた既存客の離脱もあって、初年度2万人の会員目標にはもう一段の集客策が必要な状況だ。
 
 同社では、百貨店店頭でサービスを紹介するなど百貨店顧客へのリーチを強めているが、今後はウェブ限定商品やセールの実施などで、いかにネットを主要受注ツールにできるかも採算面では課題となりそう。

 また、ノウハウを持つカタログやテレビ通販とは異なり、受注商品を翌日に届けること自体が初めてのため、「奇策はなく、確実性を重視する」(志田尚之・宅配営業部宅配企画マネージャー)としており、需要予測の精度向上も不可欠だ。

 食品宅配事業の売上高は、2011年3月期が15億円弱だが、これを初年度でほぼ倍増の27億円、将来的には100億円を目指す。

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