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有力各社の次の一手(下)千趣会、カタログで新施策――中計達成の正念場、送客での連携強化

2012年 3月 1日 10:31

  アゲインストな要因が多い中、2011年12月期業績が堅調な結果となった千趣会。田邉道夫社長は、3カ年中期経営計画の2年目にあたる今期(12年12月期)を「正念場の年」と位置付ける。前期は、新しいベルメゾンの創造、ネットおよび商品力の強化をテーマに、今後の展開を睨んだ基盤整備を推進。今期は、この基盤に新たな施策を載せていく考えだ。

 まず、新しいベルメゾンの創造として、昨年展開したテレビCMなどによるクロスメディアプロモーション。今年も引き続き、女優の小西真奈美さんをイメージキャラクターに起用し、テレビCMなどを展開するが、昨年がブランド認知度向上を主眼としていたのに対し、今年は具体的な商品・サービスを訴求。"実利"を追及する方向にシフトしている。

 昨年の春と秋に投入したテレビCMは、ユーモラスな内容となっていたが、今年2月15日から放映しているテレビCMは、「ベルメゾン」商品がある家族の日常的な生活を描写した内容で、商品は、「ニットソーボーダーボートネックプルオーバー」と「シリコンのおにぎりラップ同サイズ3色セット」を展開。昨年よりもCMの投入頻度を増やし、30代を中心とした幅広い女性層の開拓につなげる考えだ。

 また、主力の通販事業でも新たな施策に着手し、今年1月に基幹ファッションカタログを再編。「わたしの着たい服」として、シングル・ディンクス向けの「愉しむ人へ」、育児ママ向けの「微笑む人へ」、ベルメゾン主要顧客(30代半ば~40代半ば)向けの「輝く人へ」、45才以上向けの「柔らかな人へ」の4誌を展開している。

 特徴は、4誌で統一的に商品を開発し、利用シーンやテイストなど、各カタログのターゲット層に応じた商品の見せ方や誌面構成としている点。カタログごとに商品開発をしていた際の類似商品の重複を解消し、効率的な展開を図る。

 また、新たな分野として看護師向けカタログ「ベルナース」を創刊。すでに看護師向けカタログを発行する総合通販もあるが、千趣会では、オリジナルシューズブランド「ベネビス」のノウハウを活用したナースシューズ、ディズニー関連商品を扱ってきた強みを活かしたキャラクター系の文具・雑貨などの商品で差別化を推進。独自の強みを武器に、通販の有望顧客である看護師にアプローチしていく。

 一方、ネット販売の分野でも、新たな打ち手を展開。1月から「商品情報連携システム」を導入し、「ベルメゾンネット」上で若年層女性・ベビーファッションを扱うモバコレ、ペット関連商品のペットファースト、千趣会イイハナの商品を検索・購入できるようにした。

 これは、「ベルメゾンネット」から、各子会社の通販サイトへの送客を主眼としたもの。子会社側でも、千趣会イイハナが今年に入りプレゼント・ギフトの「クーリモ」、家庭菜園・ガーデニング商材の「花くらす 野菜くらす」を開設するなど、ネット販売の展開を強化しているが、グループとしての連携を強化し、シナジーを高める。

 千趣会の今期通販事業売上高は、ネット販売の拡大を軸に前期比8・2%増の1221億円を計画。今後、グループとしてアプリ開発などのスマートフォン対応、ネット関連マーケティング施策などを積極化していく方針だ。
(おわり)
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