TSUHAN SHIMBUN ONLINE

インターネット・ビジネス・フロンティア株式会社
記事カテゴリ一覧

【ニュースの断層】 「コンプガチャ」廃止の余波は?

2012年 5月17日 10:00

 2-1.jpg5月5日の一般紙報道から始まった「コンプリートガチャ(コンプガチャ」の規制問題。8日には松原消費者担当相が記者会見で「コンプガチャは(景品表示法で禁止する)カード合わせによる景品の提供に当たる可能性がある」という趣旨の見解を示すなど、規制ムードが高まっている。

 こうした動きを受けて、ディー・エヌ・エー(DeNA)やグリーなど、ソーシャルゲームの関連会社各社は、コンプガチャを廃止する姿勢を相次いで表明した。

 コンプガチャとは、ゲームを進めるのに有利となるレアアイテムを手に入れるために、特定のアイテムを複数揃えさせるというもの。入手にはアイテムの「コンプリート」が条件となるため、際限なく課金を行い、「ガチャ」を繰り返してアイテムを引き続けるユーザーが続出。「射幸性をあおっているのでは」として問題視されていた。

 今回の規制は、DeNAやグリーといったソーシャルゲームのプラットフォーム企業にどの程度影響をあたえるのだろうか。ソーシャルゲームは成長産業だけではなく、若い女性の利用者が多いだけに、通販企業にとっても重要な出稿の場だ。

 ある化粧品通販企業の幹部は「(コンプガチャ規制が)どの程度集客に影響するのか読めない」と不安を口にする。ちょうど7~9月の出稿を検討する時期だが「大幅にサイト来訪人数が減るのであれば、当然料金値下げも視野に入れなければいけない」(先の幹部)からだ。

 これに対し、ゲーム会社側では「コンプガチャ目当てのユーザーがどの程度かが把握できないため、(来訪者数やアクセス数がどこまで減るかは)はっきりとは分からない」(DeNA広報)としながらも、「急に減少することはないと考えている」(同)と説明する。

 DeNAの見解に従えば、コンプガチャはあくまでもゲーム中のイベントの一種。コンプガチャでレアアイテムを手に入れるためにゲームを遊んでいるわけではなく、廃止したからといっても、アクセス数には大きな影響はないだろうというわけだ。

 とはいえ、実際にどの程度の影響が出るかは、ふたを開けてみるまでは分からない部分も大きい。各社はコンプガチャに代わる課金手法を編み出していくことになるだろうが、行政側の規制の動きもまだ始まったばかり。仮に「カード合わせ」的な要素のある「ガチャ」が全廃されたとしたらどうなるのか。消費者庁では、こうした「ガチャ」の取り扱いについて「調査中」(表示対策課の片桐一幸課長)としており、予断を許さない。出稿を検討する通販事業者も、ソーシャルゲーム業界の動向を注視する必要があろう。

楽天 通販売上高ランキングのデータ販売